読書にまつわる今年一番の発見といえば、
rennyさんとの対話の中でご指摘いただいた、
「吉田さんにとって投資とは何ですか?と掘り下げると、読書が出てくるかもしれない。」
読書が株式市場の日々の動きから遠ざけてくれるから、
長期の視点が養われ、投資リターンの向上に繋がっている。
そう自身では認識していたのだが、
読書で知的好奇心の網を広げ、その網で投資機会を捕らえる。
というのが私の投資手法だったのだ。
- 読書で知的好奇心の網を広げ、その網で投資機会を捕らえる。(23/02/18)
こんな気付きを受けて、投資家として世界を読み解くために、
この本が役に立ったなと思うものをリスト化してみた。
- 投資家にオススメの科学書(進化論)(23/06/11)
- 投資家にオススメの科学書(相対性理論・環世界)(23/06/13)
- 投資家にオススメの社会学の名著(23/06/15)
- 投資家にオススメしたい現代文の学び直し(23/06/17)
今年、新たに手にした本で印象的だったのは、
ゴールデンウィークに数冊まとめて読んだイスラエル関連書。
2023年初めにネタニヤフ首相が就任して以降、不穏な動きがあり、
イランとの戦争勃発を警戒していたが…未来予測は当たらないね。
未来予測と言えば、今年の夏はあまりに暑く、
年末の今も暖かい日が多く、温暖化の行方が気になるところ。
多少の気温上昇にはエアコン等で対処できたとしても、
蚊の生息域が変化した場合、人類の多くは移住を迫られるのでは?
- 人類の半分は「蚊」に殺された(23/08/20)
将来起こりうるリスクに対する心構えとして、
SF小説が役に立つのではないか?と気が付いたのも今年だった。
- 太陽フレアによる大停電を描いたSF/伊藤瑞彦「赤いオーロラの街で」(23/05/11)
- 将来の災害リスクと向き合う難しさ/高嶋哲夫「富士山噴火」(23/05/14)
また今年、資本主義と民主主義の対立を描いた書籍が目についた。
- 億万長者の罪を描いた、ピーター・S・グッドマン「ダボスマン」。(23/01/17)
- カール・ローズ「意識高い系資本主義が民主主義を滅ぼす」(23/08/27)
これまで私は投資家には「ノブレス・オブリージュ」が必要だと、
様々な場面で書いたり、話したりしてきた。
フランス語の“noblesse oblige”は、
直訳すると「高貴さは(義務を)強制する」を意味し、一般的に財産、権力、社会的地位の保持には責任が伴うことを指す。(Wikipediaより)
投資は未来に対して一票を投じるような行為とも言えるが、
その投票権はすべての人に平等に与えられているわけではない。
だから投資に回せる余裕がある時点で、社会的な責任があるのでは?
というような投資に対する姿勢だ。
でもこんなことを唱えながら、投資先の企業の成長とともに、
法人税の支払いが増えているかどうか、ほとんど確認していなかった。
税金の使い道を決めるのは、選挙で選ばれた政治家の仕事。
でも企業が節税によって、手元に残った資金を事業に回したなら、
本来は民主主義によって分配されるはずの資金が奪われてしまう。
投資家や企業が社会課題と認識した分野に投じる資金は、
民主主義とは切り離されているが、これでいいのだろうか?
日本のように選挙権を行使しない国民が多い国ならこの方がいい?
そんなモヤモヤが投資家として気がついた2023年の課題かな。
最後に今年一番印象に残った一冊は、
- 宇宙の歴史と超弦理論/野村泰紀「なぜ宇宙は存在するのか」(23/07/17)
今の私の重点読書テーマは、自分から見て一番外側と一番内側。
外側は宇宙、内側は脳や遺伝子。
それぞれの最先端の研究に触れることで何か見えるものがあるはず。
でも宇宙関連は難しい本が多くて挫折の連続。
久しぶりに通読できたのが野村泰紀さんの本だった。
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