人類の半分は「蚊」に殺された

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ティモシー・ワインガード蚊が歴史をつくった

主にハマダラカを媒介とするマラリアが、
どのように人類史に影響を与えてきたかを描く歴史書だ。

私たちの免疫は生まれ育った地域の環境に適応している。
だから領土を拡大しようとする国が現れた時、
戦況の行く末を決めるのは、現地の蚊に対する耐性の有無。
攻撃側は守備側の兵士よりもマラリアの感染率が高くなるため、
歴史上、急激な領土拡大や遠征軍は失敗に終わることが多い。
アレクサンドロス大王やチンギス・ハーンもマラリアで死亡した。

「下等な蚊と思慮のないウイルスが私たちの国際情勢を方向づけることができると考えるのは、人間の自己愛にとっては無礼な一撃であるかもしれない。だが蚊とウイルスにはそれが可能なのだ」

蚊の脅威は過去の話ではなく、現在も人間の死因の第一位だ。
2000年以降、蚊を原因とする人間の死者数は年平均200万人。
そして過去の全人類の半分近くは蚊に殺害されている。

「比較的短い人類の20万年の歴史を通して、この世に生存した累計1,080億人のうち、蚊によって520億人が殺害されたと推定される。」

これまでは人類が自ら行動範囲を広げたことが、
疫病との接触につながっていたわけだが、
今後の気候変動により蚊の生息域が変わるとどうなるのか?

人類の新たな武器は、遺伝子編集ツールCRISPR
ゲノム編集による蚊の不妊化等の研究が進められているという。
しかしそれが実現して蚊との戦いに勝ったとしても、
他の種類の昆虫が病気の伝播をもたらすことはないのか?

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