当事者として企業価値評価を争点の裁判に関わる中、
リーマン・ショックが起こり株価が暴落し、世界が大混乱。
裁判になったり、株価が乱高下したりするのは、
企業価値を評価する絶対的な方法がないからだよね。
大学院へ進学して研究したら、何か見つけられないかな?
と試行錯誤してみたのが2009~2010年のこと。
未来予測が絡む分野を追い求めても明確な解は得られない、
という結論に至るのだが、その過程でとても腑に落ちたのが、
アインシュタインの「相対性理論」だった。
これまで手に取った本で読みやすかったのは、
宇宙物理学者、佐藤勝彦さんの著作。
誰にとっても同じ、唯一絶対のものだと思っていた「時間」。
でも特殊相対性理論がそうではないことを証明していた。
この世界に誰から見ても変わらない「絶対的」なものはなく、
見る人の立場によって「相対的」に変わっていくもの。
この世界は見る・見られるの関係の中で成り立っているのだ
こんな気付きを得るきっかけとなり、物理学への関心が深まった。
と同時に学問としては後発の経済関連だけを見ていた自分には、
他の分野で説かれている話が先進的に感じられたのだ。
このほかに自分の中で相対性理論と関係づけて捉えているのは、
生物学者、ユクスキュルが提唱した「環世界“Umwelt”」の概念。
この本を読んだのが出会いだ。
それぞれの生物が「主体」となって、目の前の「客体」を
自分にとって意味あるものとして知覚世界で認識しないかぎり、
その主体の「環世界」には存在していないのと同じということになる。
つまり私たちが「客観的」だと信じている、この目に映る世界は、
全体から「主観的」にある一部分を型抜きしたものにすぎないのだ。
リーマン・ショック以降は株式投資において特別難しい局面はなかった。
それゆえに自分だけの勝利の法則を見つけたつもりになりがち。
でも「絶対」も「客観」も存在しないのだから、それは思い上がりだ。
自分の心にブレーキをかけるために、自然科学に触れることは重要だと思う。
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