人生の哲学と科学

世界を読み解く方法

愛とは時間をムダにすること/辻信一「ナマケモノ教授のムダのてつがく」

「タイパ」について学ぶための読書。一冊目は、 稲田豊史「映画を早送りで観る人たち」 続いて読んだのは、文化人類学者が「ムダ」をテーマに書いた、 辻信一「ナマケモノ教授のムダのてつがく」 「タイパを重視...
世界を読み解く方法

未来を考察する方法/ウィリアム・マッカスキル「見えない未来をかえる『いま』」

著者の名前に見覚えがあったので読んでみた一冊。 ウィリアム・マッカスキル「見えない未来をかえる『いま』 長期主義倫理学のフレームワーク」 著者の本を読むのは2冊目。 エシカル消費よりも寄付の選別に頭を...
古典に学ぶ人生論

しょせん自分のお尻の上に座るしかない/モンテーニュ「エセー」

引き続き、モンテーニュ「エセー」より。 私たちは理解不明な出来事に遭遇すると、 原因と結果を強引に結びつけて、納得しようとしがち。 「わたしの見るところ、人間というのは、なにかの事実が示されると、えて...
古典に学ぶ人生論

基準は自分の内側に/モンテーニュ「エセー」

年始から株高・円安で資産の増加ペースが不気味だ。 おそらく2024年1月の1ヶ月間は、24年間投資を続けてきて、 月次ベースでの増加割合・増加額ともに過去最高だと思う。 こんな時は投資と距離を置いて、...
古典に学ぶ人生論

読書が心を整える/モンテーニュ「エセー」

モンテーニュは「三つの交際について」の章で、 人生を振り返り、3種類の良き交際を比較した。 美しく礼儀正しい女性たちとの交際 まれで心地よい友愛 書物との交際 まずは読書以外の2つ(恋愛・友愛)につい...
脳と遺伝子の探求

体内時計を司る遺伝子とその司令塔/岡村均「時計遺伝子」

タイトルに惹かれて手に取った、岡村均「時計遺伝子」。 すべては理解できなかったので簡単に読書メモ。 私たちを形作るすべての細胞に「時計遺伝子」が含まれている。 そしてこれらの時計遺伝子の司令塔が、眼の...
世界を読み解く方法

考えるとはどういうことか?

これだけをやっておけば大丈夫! 人生の様々な場面でこのような誘惑に出会う。 タイパやコスパに重視される今、私たちは易きに流れがち。 生物の究極がホヤであるなら、正しいのかもしれないが、、、 世界はシン...
世界を読み解く方法

善悪二元論を倫理学から考えてみる/佐藤岳詩「倫理の問題とは何か」

自分の信じているものを強く信じるために、 敵を作って批判してしまいがちなのはなぜなのか? それはデカルトの「方法序説」以来、 私たちが築いてきた思考法の基本が二元論だから? 今月のrennyさんとのポ...
世界を読み解く方法

年末年始の読書が不作

例年通り、年末年始用に図書館でたくさん本を借りて、 読みあさったけど、思うような成果が得られなかった。 「江之浦奇譚」は江之浦測候所の鑑賞後だったので面白かったけど。 もやっとしながらも、気になった書...
兼好法師「徒然草」

資産を殖やす話ばかりの今こそ、徒然草。

昨年来、新NISAの話題があふれており、 将来の資産を殖やすことばかりに焦点がいきがちだ。 だが、お金を「稼ぐ・貯める・殖やす」方法は限られており、 本当に難しいのは、多数の選択肢があるお金の「使い方...
お薦めの本

行動遺伝学の3原則(エリック・タークハイマー)

行動遺伝学者の安藤寿康氏と、作家の橘玲氏の対談本、 「運は遺伝する」がわかりやすく、遺伝学に関心がある方にオススメ。 (キャスリン・ペイジ・ハーデン「遺伝と平等」は難しくて途中で挫折) その中でこれは...
世界を読み解く方法

因果関係と相関関係を混同しないための反事実?

よくある考え方の間違えに因果関係と相関関係の混同がある。 でも因果関係ってどうやったら証明できるのだろう? その解を求めて「因果推論の科学」なる分厚い本を手に取ったが難しい。 理解度が怪しい状況だが「...
脳と遺伝子の探求

行動遺伝学は日進月歩。一つの遺伝子だけで人生は語れない。

遺伝と環境が私たちの人生に与える影響を研究する行動遺伝学。 これから「文系」と呼ばれる分野の諸学問は、脳科学や遺伝学等、 私たちの内側の最先端を追求する学問によって様変わりしていく。 そんな予感がする...
脳と遺伝子の探求

文字を読むことの脳科学/メアリアン・ウルフ「プルーストとイカ」

先週、読書好きのための遊園地?、角川武蔵野ミュージアムを訪問。 図書館や書店のような管理のしやすさを重視した本棚ではなく、 目に留まったテーマから芋ずる式に読みたい本があふれだす仕組み。 脳関連の棚で...
世界を読み解く方法

人間の認識に客観は存在しない。あるのは主観のみ。

宇宙物理学に触れると、直感的には理解し難い話が満載。 サイクリック宇宙論…現在の宇宙はビックバン(膨張)とビッククランチ(収縮)を30~50回繰り返してできあがったもの? 私たちは50回目の宇宙を生き...
人生の哲学と科学

量子もつれに思考がもつれる

昨年2022年にノーベル物理学賞を受賞したアントン・ツァイリンガー博士。 その著作「量子テレポーテーションのゆくえ」を読んでみたが、 あまり理解できず、ある面での知能の衰えを感じさせられた。 量子もつ...
人工知能をめぐる議論

知力を拠り所とする時代の終わり/出口康夫「AI親友論」

京都大学で哲学を教える出口康夫教授の「AI親友論」を読んで、 私は「知」に対する執着が強すぎるのかもと感じされられた。 人間は「知的能力」に自らの尊厳やを見出してきた。 地球上の他の動物や自ら生み出し...
世界を読み解く方法

ベーコンのイドラ。帰納法で読み解くその前に。

フランシス・ベーコン(1561-1622)といえば帰納法。 恥ずかしながら、それだけしか頭に残っていなかった。 あらためて高校生用の倫理の参考書を読み直すと、 世の中を帰納法で読み解くにあたっての前提...
お薦めの本

動物の言語研究から人間社会を俯瞰する

ゴリラ研究の山極寿一さんと野鳥研究の鈴木俊貴さんの対談本、 「動物たちは何をしゃべっているのか?」。 京都大学の総長を務めた山極さんをご存じの方はほとんどだと思う。 私が鈴木さんのシジュウカラ研究を知...
人工知能をめぐる議論

生成AIは水をがぶ飲みする?

生成AIブームで高性能な半導体が注目されている。少し気になるのは半導体の性能が上がれば上がるほど、エネルギー消費量も増大するはずだけど、それ大丈夫? 気になってGoogleとMicrosoftの環境報...