サブプライムローン問題の前史から、トランプ大統領誕生までの、
およそ10年間の世界の政治・経済を描いた、アダム・トゥーズ「暴落」。
上下巻そろえると約1万円になるが、お値段以上の価値があり、
当時の株価や為替を振り返りながら、ここ10日間ほどかじりついていた。
一冊の本にここまで時間をかけて読むのは本当に久しぶりだ。
リーマン・ショックを投資家としてリアルタイムで体験できたのに、
すでに当時の記憶は曖昧になってしまっていたり、
そもそも個々の事件のつながりも正しく把握できていなかったり…。
今の私は、そんな勿体ない状態だったため、この本に出会えてよかった。
金融危機が悪化したブッシュ政権の終盤、危機対応の局面で、
共和党エリート層と民主党が超党派の連携を組んだことで、共和党が分断。
それが後のトランプ大統領誕生に繋がっていたとは気が付かなかった。
読後に最も認識が変わったのが、EU(欧州連合)に対する見方。
EUのリーダーシップを期待されたドイツ(メルケル首相)が、
経済危機への対策に、うんざりするほど抵抗し続けたことで、
ギリシア危機を発端に、ヨーロッパ全域に経済危機が拡大してしまう。
またEUの足並みがまるで揃わないことを好機と捉えたイギリスが、
国民投票をチラつかせながら、自国に有利な条件を引き出そうとしたら、
読みが間違って、EU離脱の方に転がってしまう。
グダグダがひどすぎて、通貨分散でユーロを持つとかないわ~。
私が資産運用をはじめた2000年頃は、ユーロがずいぶん期待されていて、
日本円、米ドル、ユーロを持つのが通貨分散の基本と言われたもの。
その名残で資産の1割程度、ユーロの普通預金で持っていた。
でも、昔と違って金利も付かず、ユーロのまま株式や債券に投資するのは難しいし、
この1年でだいぶ円安ユーロ高に進んだから、ユーロとおさらばするいい機会。
米国ADRでヨーロッパに投資している分をユーロ分に換算し忘れていたし。
こんな感じでこれからの資産運用を考えさせられる内容でもあり、
投資家のみなさんにはぜひオススメしたい一冊だ。
コメント