12月5日の竜王戦勝利後の会見、12月13日の日本記者クラブでの会見、
二つの会見での羽生善治さんのコメントから目立ったものを以下に編集した。
永世七冠を達成して今後の目標は?
記録としてのものを目指していくのもあるんですが、
将棋そのものを本質的にわかっているかというとまだまだです。
もともと将棋の可能性は10の220乗くらいあると言われているので、
それを考えると根本的なことはわかっていない面があると思っています。
これから自分自身強くなるかわからないが、
続けていく中で、これは今まで知らなかったというような、
何かしらの発見、進歩を指していく中で感じ取れたらなぁと。
将棋の世界は伝統と歴史のある世界だが、
盤上で起きているのはテクノロジーの世界。
過去の実績で勝てたといっても、
これから先に盤上の上で意味があるものではない。
つねに最先端を探求していくという思いでいます。
若い頃との違い(現在47歳)
10代20代の時と違って、次に出られる保証はないですし、
今回はもしかしたら最後のチャンスかもという気持ちで臨んでいました。
ここ最近は将棋そのものの内容が大きく変わってきており、
それについていく、理解していくのが難しくなってきている。
若くて研究熱心な人たちの棋譜を勉強しながらがここ1,2年多い。
一局の対局をすることに関しては体力的には今も昔も変わりはない。
ただし、たくさんの局数をこなしてパフォーマンスを保つことは難しい。
それがこれからの課題です。
若い頃の思考は足し算だったが、現在の強みは引き算。
引き算で考えていくというところは経験によるところが大きい。
コンピューターがもたらした将棋の変化
将棋ソフトが出てきて何が変わったかというと、
過去に人間が指した指し方がけっこう見直されてきたこと。
人間の目から見てクラシックなかたちが復活してきているというのが、
今年一番の大きなトレンドなんです。
コンピュータの情報をそれを受け入れるか、受け入れないかは、
人間の美意識によるところが非常に大きいと思うんです。
過去にあったものというのは、人間にとっては受け入れやすいものなので、
そういう温故知新のような状態が起こったのではないかなと思っています。
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