めくるめく和歌の世界

古今和歌集

古今集・仮名序の末尾が美しい

古今和歌集の仮名序を読み返していて、末尾の美しさに気がついた。 「歌のさまをも知り、ことの心を得たらむ人は、大空の月を見るがごとくに、いにしへを仰ぎて、今を恋ひざらめかも。」 和歌と言の葉の本質を理解...
百人一首

藤原定家は百人一首の編者ではない?/田渕句美子「百人一首」

百人一首は和歌の魅力が凝縮された不思議な歌集。 鑑賞本が出版されるたびに買ってしまうのだけど、 今回手にしたのは最新研究も紹介された一冊。 田渕句美子「百人一首 編纂がひらく小宇宙」 日本人で知らない...
古今和歌集

古今和歌集に詠まれた「桜色」

桜の季節になると和歌とたわむれたくなるもの。今年の東京の桜は満開になった直後から雨が続いている。雨がやみ、お花見日和になる頃には、桜は散り始めだろうか。 というわけで、まもなく散ろうとする桜歌を鑑賞す...
古今和歌集

古今和歌集に記憶の大切さを学ぶ

インターネットとGoogleの検索窓を手に入れたのに、どうして私たちは記憶という面倒事から逃げられないのか? そんな疑問が頭をよぎることもあるが、古今和歌集を読んでいると、記憶の大切さを再認識させられ...
古今和歌集

なぜ古今和歌集は四季の歌からはじまるのか?

「古今和歌集」の編集方法には不思議な部分が多々あり、以前、恋歌の巻についてはまとめたことがある。 古今和歌集の見事な編集術。その裏にはよみ人しらずの陰謀?(17/02/12) なにより不思議なこととい...
めくるめく和歌の世界

藤の和歌。長寿の松に絡ませて藤原氏の繁栄を願う?

藤の花が咲き始めて、見慣れた形は藤棚で花が風に揺れる光景。でも近くの公園で壁の手すりに絡みついて咲いているのを見て、 藤棚って昔からあった訳じゃないよね?と和歌を調べてみた。 「松」「藤波」がセットで...
めくるめく和歌の世界

失われた言葉がもつ音楽性。神名、梁塵秘抄。

文字や文章を声に出して読むことはほとんどない。小学校の国語の授業か、カラオケが好きな人が歌う時ぐらいだろうか。歌詞は忘れてしまったが、音楽は覚えているようなこともたびたびで、私たちの脳内では、文字と音...
西行「山家集」

中世の月食は不吉。でも西行は月が好きだから見たい!

先日の皆既月食は空が雲に覆われていてまるで見えなかった。 外に出れば見えるかな?と図書館へ本を返却するついでに出かけてみると、多摩川の堤防の上に人があふれていた。昔の人があの光景を目にしたら、さぞかし...
百人一首

百人一首は記憶力ではなく教養を試されるもの

百人一首の本を見つけるとなんとなく買ってしまう。いったい何冊あるのか数えてみると、こんなにあった。 水原紫苑「百人一首 うたものがたり」(2021) 最果タヒ「百人一首という感情」(2018) 阿刀田...
万葉集

令和の宴会後、大伴旅人が詠んだ梅歌四首

現在の元号「令和」は、太宰府、大伴旅人の館で開かれた宴会の様子が描かれた、「万葉集」巻五「梅花歌三十二首ならびに序」の序文から取られたことは有名。 梅の季節ということで、その梅の和歌32首に目を通して...
新古今和歌集

梅と香と袖の連環/業平「梅の花香をのみ袖にとどめおきて」

伊勢物語の第4段の和歌といえば、古今和歌集の恋五の巻頭にも採られた一首が有名。 月やあらぬ 春や昔の 春ならぬ わが身ひとつは もとの身にして 一般的に目にする伊勢物語は藤原定家(1162〜1241)...
古今和歌集

古今集「誰が袖ふれし宿の梅」とお香の文化

妻がお香をもらって、「たがそで?」「こきんしゅんじょう?」と何やら調べているので、もしや?と思ったら、 色よりも 香こそあはれと 思ほゆれ 誰が袖ふれし 宿の梅ぞも 古今和歌集・春歌上巻の和歌の話だっ...
めくるめく和歌の世界

建礼門院右京大夫の見た星空

古代日本は星に対する関心が薄かった? かつての「広辞苑」編者、新村出(1876〜1976)は、古代日本の星に対する関心の薄さを指摘した。 「支那の星学説、占星術及び星辰崇拝が輸入されないうちの、日本人...
めくるめく和歌の世界

後拾遺和歌集の中秋の名月

今年は明日が中秋の名月(旧暦八月十五夜)ということで、去年、手に入れた岩波文庫の「後拾遺和歌集」から、中秋の名月を詠った和歌を抜き出してみた。 まずはおさらい。勅撰和歌集での月の和歌が増えはじめるのが...
めくるめく和歌の世界

藤原定家「明月記」の超新星爆発と星の歌。

今冬の星空の話題として、オリオン座・ベテルギウスの異変がある。 その星の光が急速に暗くなり、超新星爆発がまもなくかも、とのこと。地球から650光年の星なのですでに爆発しているかもしれないが。 明月記の...
万葉集

万葉集のかけ算九九遊び

かけ算の九九は、万葉集の時代にはすでに常識だったようだ。おもしろいのでいくつか用例をメモ。 まずはこの時代を代表する歌人、柿本人麻呂の一首から。狩りに出かけた長皇子を讃えた歌の中で、 十六社者 伊波比...
万葉集

日本人の季節感は京都で生まれた?/森朝男「読みなおす日本の原風景」

日本人の季節感の形成について、おもしろい仮説に出会った。 万葉集の巻十四は「東歌」という表題になっており、現在の東海・中部・関東地方で詠まれた歌を230首収録している。 森朝男「読みなおす日本の原風景...
日本の神様と昔話

伊吹山の神様とその息吹がもたらす薬草。

次なる日本文化探求の旅は滋賀に決めた。予習を進めるうちに気になったのが伊吹山。 伊吹山を結ぶ神社と史跡 ヤマトタケルが草薙剣を持たずに伊吹山の神を討伐に出かけ返り討ち。尾張国の妻ミヤズヒメの元に草薙剣...
百人一首

百人一首せんべいを片手に、日本史の不思議に思いをはせる。

私が好きなおせんべい屋「長岡京 小倉山荘」。 この店は百人一首をモチーフにした包装に特徴があり、ウェブサイトは和歌のコラムが充実の内容で、メールマガジンに登録すると宣伝の合間に下記の連載が届く。 『小...
百人一首

セレンディピティとはめぐり逢うこと。

「セレンディピティ」という言葉の持つ意味が、人生の本質を突いているように思えた。 しかしカタカナ語をこれ見よがしに振りかざす人間ほど信用できないものはない。他の人々に理解しにくい言葉を使うことで、優越...