古今和歌集の仮名序を読み返していて、末尾の美しさに気がついた。
「歌のさまをも知り、ことの心を得たらむ人は、大空の月を見るがごとくに、いにしへを仰ぎて、今を恋ひざらめかも。」
和歌と言の葉の本質を理解した未来の人は、
大空の月を見るように「古(いにしへ)」を過去を仰ぎ見て、
古今集の成立した「今」を恋い慕うことだろう。
「大空の月」を見ることは過ぎ去った「古」を見つめること。
その「古」があってこそ「今」を恋い慕うことができるから、
月は「古」と「今」を結びつける存在と捉えることもできる。
勅撰和歌集に月の和歌が増え始めるのは、まだ後の時代だけど、
こんな月の見方が古今集に残されていることに初めて気がついた。
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