かけ算の九九は、万葉集の時代にはすでに常識だったようだ。
おもしろいのでいくつか用例をメモ。
まずはこの時代を代表する歌人、柿本人麻呂の一首から。
狩りに出かけた長皇子を讃えた歌の中で、
十六社者 伊波比拝目(万葉集3・239)
「十六」と書いて「しし(四×四)」と読み、
「鹿」や「猪」までもが皇子を敬っていると詠んだ一節がある。
同様の使い方は他の歌でも登場し、
射目立 十六待如(万葉集13・3278)
「十六」はやはり「鹿」や「猪」のことで、
射目に隠れて鹿猪を待ち伏せるように…という意味。
もちろん「十六(しし)」だけではなく、
三野之國之 高北之 八十一隣之宮尓(万葉集13・3242)
「三野」は「美濃」、「八十一隣」は「くくり」と読んで、
現在の岐阜県可児市久々利を指している。
「八十一」と書いて「九×九」と読ませる。
このように九九を使った言葉遊びが万葉集に点在している。
平城京跡で九九の練習をした木管が見つかっているらしい。
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九九の中国伝来、裏付ける木簡 平城宮跡で出土(日本経済新聞2010年12月3日)
かけ算の九九を覚えるのは千年以上も続いているんだね。
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