日本人の季節感の形成について、おもしろい仮説に出会った。
万葉集の巻十四は「東歌」という表題になっており、
現在の東海・中部・関東地方で詠まれた歌を230首収録している。
森朝男「読みなおす日本の原風景」によると、
東歌には季節の歌に代表的な動植物がほとんど現れない。
ゆえに季節感というものは京に住む貴族の文芸から成立したのではと。
「季節の意識や自然美の意識は、村落ではなく都市で発生したものであり、一般庶民ではなく京に住む貴族教養層にリードされてできたものであった。美しい自然、美しい季節は彼らの風流心や漢詩の教養とともに成立し、和歌の自然観となり、ながく日本の古典文芸における自然観の基盤として働いた。」
季節感というと自然に近い地方から生まれてくるように思うけど、
都市部の方が自然の憧れの強さから、四季を強く意識したのかな。
もちろん当時は京の貴族しか暦を知らなかったという要因もあるだろうけど。
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