チャールズ・スペンス「センスハック」

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「センスハック」の言葉の意味がよく分からず、
また邦訳の副題が「生産性を上げる究極の多感覚メソッド」と、
安っぽいビジネス書の匂いがして、見向きもしていなかった一冊。

しかし最近、著者がチャールズ・スペンスであることに気がついた。
2018年の1年間に読んだ本のなかで最も興味深かった、

あれと同じ著者の本ならぜひとも読まなければ!

前回は食事に絞って様々な錯覚が紹介されていたが、
本書は日常の様々な場面における感覚の不思議が紹介されている。

目に留まった話を書き出しておくと、

  • 匂いの良いタオルは手触りが柔らかく感じられる。

  • 顔のしわを一時的に取り除くのは、モイスチャークリームの有効成分ではなく、それに加えられているリラックス効果のある香り成分だ。

  • 自然音のリラックス効果。知覚される生物多様性が多いほど(鳴き声が聞こえる鳥の種類が多いほど)、リラックス効果が高まる。

  • 寝付けないときは右耳に耳栓をするのが有効。右脳が眠っている間、左脳が警戒を続けるから左脳側の右耳からの雑音を遮断する。

  • 高級ブランドは店内の温度を低く設定する。私たちは温度がより低いと、商品をより高く評価しがち。

  • スポーツにおいて黒のユニフォームを着ているチームはパフォーマンスが高くなる。(なんとなく赤だと思っていた)

  • 赤いドレスをまとった女性は美しく見える。しかし「魅力的な赤」現象は科学的に説明できていない。

  • 女性がハイヒールを履くと魅力が増すのは子孫繁栄に関連。腰椎の湾曲率を高めることは、脊椎に損傷を与えずに、妊婦が双子妊娠を維持する可能性を醸し出すから。

10年以上前に読んだ、ジェラルド・ザルトマン「心脳マーケティング」に、
消費者は意志決定の95%は無意識で行っている、という話があった。
あの頃は無意識と考えられていた事象が、研究が進んだことで、
五感の働きの受けての行動だったことが解明されてきたってことかな?

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