年末年始の読書が不作

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例年通り、年末年始用に図書館でたくさん本を借りて、
読みあさったけど、思うような成果が得られなかった。

「江之浦奇譚」は江之浦測候所の鑑賞後だったので面白かったけど。

もやっとしながらも、気になった書籍についてメモ。

デヴィッド・グレーバー「価値論」

「ブルシット・ジョブ」の著者が2001年に出版した本。
グレーバー初めての著作で2022年に日本語訳が出版された。

私には難解であまり頭に残らなかったが、こうした探求が、
仕事における社会的価値と経済的価値の乖離の問題へ繋がるのかな。

あと私たちが価値を語ろうとする時、以下の三つの方法を用いており、
これらを調和するのが難しいと指摘しているのが目を引いた。

社会学的な意味での「価値観」…人間にとって、究極的に素晴らしく、正しく、または望ましいものについての概念。

経済学的な意味での「価値」…モノが欲求される度合い。特に、他の人びとがそれを手に入れるために、どれぐらいのものを差し出す用意があるか、によって図られる。

言語学的な意味での「価値」…構造言語学者フェルディナン・ド・ソシュールに遡る。それをもっとも単純に言い表すと「意味のある差異」になる。

また価値論は「意味」と「欲望」の橋渡しをする理論である、
という整理もされていたのが、頭に入れておくと今後参考になりそう。
市場理論が提示する欲望は、単純で穴だらけで使い物にならないとも。

鹿島茂「思考の技術論」

デカルトの名著「方法序説」を出発点に開拓されていった、
「知」の方法の著者なりの解釈が興味深かった。
とくに「二元論」について見つめ直す良い機会になった。

善悪二元論が世界を読み解く方法から遠ざける、
というようなことを、たびたび書き残してきたように思う。

ただ「発見」を2つ以上の既知から新たな未知を生み出すこと、
と捉えた時、推論を進めるために二元論は必須であると著者は指摘。

「二元論とは、世界の分け目を見出し、二つに分けた世界を対照的に重ね合わせる折り目を見いだすこと。」

私が二元論をダメだと感じるのは、折り目の見出し方なのかな?

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