古典に学ぶ人生論

古典に学ぶ人生論

世間に価値判断を委ねない/マルクス・アウレリウス「自省録」

前回のポッドキャスト収録で、「株式投資において辛抱強さを身につけるには?」とrennyさんから問われて、古典を読むことと回答。禅の問答集と答えている時、思い描いたのは「正法眼蔵随聞記」。私の愛読書「徒...
古典に学ぶ人生論

利殖上手にして武辺者の岡左内。そのお金の使いどころ。

戦国武将、岡定俊(1567~1622)。通称、岡左内。調べているとお金の面で、なかなかおもしろい人物だ。上田秋成は「雨月物語」(1776)の最終章「貧富論」に、主人公として左内を登場させ、こう語らせる...
道元「正法眼蔵」

道元の遺言? 八つの大切なこと/正法眼蔵・八大人覚

道元の大著「正法眼蔵」の最終巻「八大人覚」は、釈迦入滅直前の説法「仏遺教経」からの引用が主だが道元絶筆の教えとして、遺言ととらえることもできるという。「八大人覚」とは「八・大人・覚」であり、ここでいう...
兼好法師「徒然草」

徒然草に学ぶ、金銭感覚と投資の心得。

rennyさんとのお話の中で「徒然草」に触れたので、お金や投資に関連する部分についてまとめておこう。理想的な金銭感覚兼好法師の生きた14世紀前半は、貨幣経済が本格的にはじまった頃。徒然草の中にも金銭感...
中国古典

柳緑花紅真面目。「しんめんもく」と「まじめ」。

柳緑花紅真面目(柳は緑花は紅、真面目)宋代の詩人、蘇東坡(1037~1101)の詩の一節とされる。(レファレンス共同データベースによると、出典不明で作者は謎)蘇東坡の詩は仏教の経典や語録を題材にしたも...
中国古典

不要不急と無用の用

不要不急。先ごろはじまったCOVID-19の第5波では、あまり見聞きしなくなった。ただ「何が自分にとって不要不急だったのか?」と振り返る機会は、今後も継続的にあった方がいいように思う。今の経済活動をひ...
古典に学ぶ人生論

クロイソス×ソロン問答へのアリストテレスの反論(ニコマコス倫理学)

アリストテレスの「ニコマコス倫理学」に興味はあるが、なんだか難しそうと迷ったものの、結局手に取ることにした。40歳を過ぎ、いつ老眼に襲われるか分からないので、気になる古典は今のうちに目を通しておくべき...
古典に学ぶ人生論

アリストテレスの最高善って遊戯三昧?

いままでちゃんと読んだことがなかったので気付かなかったのだが、アリストテレス「ニコマコス倫理学」はある意味、幸福論の古典のようだ。ちょこっとかじってみて、もしやこれは?と思ったことをメモ。「もういちど...
お薦めの本

幸運と幸福の違いとは?/ヘロドトス「歴史」

ヘロドトス「歴史」を読み直している。読み進めていくと一番最初に出会う読みどころはやはり、クロイソスとソロンの問答。※岩波文庫・上巻のP31~権力の絶頂にあったリュディア王クロイソスは、ギリシアの賢人ソ...
道元「正法眼蔵」

老いと向き合う禅/荘子「坐忘」、道元「身心脱落」

荘子を読み返していて、座禅の源流のような記述を見つけた。(大宗師篇第七章)顔回が師匠の孔子に「坐忘」を身につけたと報告する。「肢体を堕ち、聡明をしりぞけ、形を離れ知を去りて、大通に同ず。此れを坐忘とい...
兼好法師「徒然草」

徒然草・最終段に込められた意味

徒然草の最終段である243段は少し不思議。幼少期の兼好法師が父親に「仏って何?」と問いかけ、数回の問答の後に、父は答えられなくなり、「問ひ詰められて、え答へず成り侍りつ(息子に問い詰められ、とうとう答...
古典に学ぶ人生論

鴨長明の方丈庵。台所がないのが気になる。

引越先を探す中で、必要な家の広さについて考えていて、なぜか、鴨長明「方丈記」を読み直しはじめた。ちなみに「方丈記」の「方丈」とは、長明の住んだ家の広さを現す。方丈=一丈四方一丈=3.03メートル3.0...
お薦めの本

ジェイムズ・ロム編「セネカ 死ぬときに後悔しない方法」

セネカ「生の短さについて」を再読しようと思い立ったが、誰かが編集したもので新たな視点が欲しいなと手に取った、ジェイムズ・ロム編「セネカ 死ぬときに後悔しない方法」でも読んでみたら、「生の短さについて」...
古典に学ぶ人生論

念仏の心がまえ?そんなものはない!「一遍上人語録」

踊り念仏で鎌倉時代の日本を遊行した時宗の開祖、一遍。久しぶりに「一遍上人語録」を読み直している。念仏の心がまえを問われた一遍は、「南無阿弥陀仏と申す外、さらに用心もなく、此外に又示すべき安心もなし。諸...
古典に学ぶ人生論

怒りの源は無知か傲慢/セネカ「怒りについて」

岩波文庫の兼利琢也訳、セネカ「怒りについて」を読んだ。セネカの著作のなかで「対話篇」と呼ばれる全12巻の作品があり、第1巻「摂理について」第2巻「賢者の恒心について」第3,4,5巻「怒りについて」第6...
世界を読み解く方法

夢窓国師の世界を読み解く方法/「夢中問答集」25~29段を中心に

引き続き「夢中問答集」を読み直す中で、夢窓国師が説いた、悟りに至る考え方のようなものが、今の私たちが世界をいかに読み解くか?という方法を探す手助けになるのではないかと感じた。夢窓国師は「仏道」とは逆の...
古典に学ぶ人生論

夢窓国師の幸福論/夢中問答集・第1~5段

とある方の問答集を企画・編集をしようと考えていて、その参考にしようと、久しぶりに「夢中問答集」を手に取った。鎌倉末期~室町初期の臨済宗の禅僧、夢窓国師(夢窓疎石)と、室町幕府・初代将軍、足利尊氏の弟、...
兼好法師「徒然草」

偽ブランドは嘘つきのはじまり/池谷裕二「脳はすごふる快楽主義」

脳科学者の池谷裕二さんが最新の論文を紹介するエッセイ集。第3巻の「脳はすごふる快楽主義」を読んだ。このシリーズは実に面白く、前2巻で印象的だった論文もメモを残している。心が通じ合うとは、相手の言葉が予...
古典に学ぶ人生論

他者に迎合せず、その個性を尊重して己を磨け!/夏目漱石「私の個人主義」

晩年の夏目漱石(1867~1916)の講演録「私の個人主義」。1914年に学習院で行われた講演だ。青空文庫で初めて読んだのだが、これはおもしろい。漱石はロンドンに留学した頃の自分を次のように揶揄する。...
古典に学ぶ人生論

フランクリンの人生論「13の徳目」「心の代数」

五島慶太が家を建てる以前の五島美術館の敷地は、ロバート・ウォーカー・アーウィンという人物の別宅があった場所で、この人はベンジャミン・フランクリン(1706~90)のひ孫なんだとか。そんなことを知ったの...