道元の遺言? 八つの大切なこと/正法眼蔵・八大人覚

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道元の大著「正法眼蔵」の最終巻「八大人覚」は、
釈迦入滅直前の説法「仏遺教経」からの引用が主だが
道元絶筆の教えとして、遺言ととらえることもできるという。

「八大人覚」とは「八・大人・覚」であり、
ここでいう「大人」は「仏」や「菩薩」を指しているらしい。

しかし私たちは修行僧ではないので、
「立派な人間になるために覚えておくべき八つのこと」
ぐらいの感覚で以下の教えに触れるのがいいと思う。

  1. 少欲…五欲(財・色・食・名誉・睡眠)を広く追い求めるな。

  2. 知足…すでに手にしたもので満足せよ。

  3. 楽寂静…喧騒を離れ、寂静を楽しむべし。

  4. 勤精進…精進に勤めよ。

  5. 不忘念…仏の教えを忘れるな。

  6. 修禅定…心静かに真理を見つめよ。

  7. 修智慧…物事をあるがままに見る眼(智慧)を修得せよ。

  8. 不戯論…物事を複雑に考えず、単純に、あるがままに受け入れよ。

少欲」と「知足」は、人生にまつわるお金の面からも大切な教え。
株式投資で過度にリターンを求めれば、逆に資産を失うことも多いし、
身の丈に合わない広さや好立地の家は、債務者の監獄となってしまいがち。
お金に関する失敗は、少欲と知足を忘れた時にやってくるのだ。

楽寂静」と「修禅定」はセットでとらえるといいだろうか。
世間とうまく距離をとらなければ、本質を見抜くことはできない。
つながりやすくなった今の世界は、烏合の衆になりやすいのでご用心。
全体主義の暗雲が立ちこめていた頃の名著が参考になるだろう。

勤精進」は、「正法眼蔵随聞記」にも登場する、
「人知れず善いことをする」といった教えに置き換えてもいいだろう。

不忘念」は、仏の教えを忘れるな、と言われてもピンと来ないので、
自らが師と敬う人から学んだこと、と置き換えて読めばいいだろう。
身近に尊敬できる人がいなければ、読書を通じて見出すこともできる。

修智慧」と「不戯論」は同じことの繰り返しに思えるが、
それだけ私たちが物事をありのまま見るのが難しいということ。
おそらく絶対的な基準を持とうとすることが眼を曇らせる。
この世界はその時々の関係性で相対的に変化していくものだから、
ありのままを受けいれ、しなやかに対応することが大切なのだ。

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