徒然草に学ぶ、金銭感覚と投資の心得。

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rennyさんとのお話の中で「徒然草」に触れたので、
お金や投資に関連する部分についてまとめておこう。

理想的な金銭感覚

兼好法師の生きた14世紀前半は、貨幣経済が本格的にはじまった頃。
徒然草の中にも金銭感覚にまつわる話が残されている。

大富豪の説く5ヵ条の心がけを耳にした兼好が、
蓄財に対する疑問を呈する第217段。

ちなみに13世紀後半から壺など入れられた大量の銭貨が出土しており、
お金を貯める感覚はこの頃にはじまったのかもしれない。
参考:貨幣博物館

兼好が良しとしたのは蓄財ではなく浪費。
大好物を目にしたら、後先考えずにお金を使ってしまう人を、
「まことに有り難き道心者なり」と賞賛している。

兼好がこうした金銭感覚に至ったのは、
鎌倉末期から南北朝の動乱を目の当たりにしていたから。
将来のために現在の欲を捨てることは、世の無常から目を背ける行為。
今この時に目を向けよ!が徒然草の全編を通じて繰り返し現れている。

寿命が延びた現代においては、そのまま受け入れることはできないが、
お金というものは「稼ぐ・貯める・殖やす」ことよりも、
いかに「使うか」が難しいということは今も昔も変わらないのではないか。

名人讃歌

上記の第60段の話もそうだが、
徒然草は兼好が理想の生き方は追い求めた記録でもあり、
憧れの名人の教えがたびたび登場する。
このあたりは株式投資の心得にもつながる話だ。

「高い所ではなく地面までもう少し、という高さが最も危険」
この庭師の教え(109段)は、下落相場ではなく上昇相場の中にこそ、
巨額損失の罠が潜んでいることと似ている。

また「負けないように打つ」という双六名人の必勝法(110段)は、
どんな勝負事でも美しく勝ち続けるのは難しい。

私にとって、自分のやり方にこだわらず、負けない一手を打ったのは、
話の中で紹介したリーマン・ブラザーズの破綻直後のETF買いだろうか。

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