鴨長明の方丈庵。台所がないのが気になる。

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引越先を探す中で、必要な家の広さについて考えていて、
なぜか、鴨長明方丈記」を読み直しはじめた。

ちなみに「方丈記」の「方丈」とは、長明の住んだ家の広さを現す。

  • 方丈=一丈四方
  • 一丈=3.03メートル
  • 3.03メートル×3.03メートル=四畳半

不思議なもので、家の間取りとか気にしている今だからこそ、
長明の方丈庵の内部に関する記述が目にとまった。

「東に三尺余の庇をさして、柴折りくぶるよすがとす。南、竹の簀子を敷き、その西に閼伽棚を作り、北によせて障子をへだてて阿弥陀の絵像を安置し、そばに普賢を掛き、前に法花経を置けり。東のきはに蕨のほどろを敷きて、夜の床とす。西南に竹の吊棚をかまへて、黒き皮籠三合を置けり。すなはち、和歌・管絃・往生要集ごときの抄物を入れたり。かたはらに、琴・琵琶おのおの一張を立つ。いはゆる、をり琴・つぎ琵琶これなり。かりの庵のありやう、かくのごとし。」

今風に言うと、趣味の部屋にベッド付きみたいなイメージ。
本棚、机、楽器、ベッドを置いて四畳半なら特別狭いわけではない。
台所、お風呂、トイレの水回りを付ければ現代の一人暮らしと変わらない。
長明といえば「清貧の暮らし」という考えは固定観念なのかも。

方丈庵に台所がないのが気になる。
日本の古典って、なぜか食にまつわる話題が少ない気がする。

和歌だと万葉集では本にまとめられるほどたくさん詠まれるが、
古今和歌集以降はあまり見かけない印象。
食の好みを語りそうな清少納言も「かき氷」に触れるのみ。
徒然草には料理上手を讃える一節はあるので(122段)、
食に無関心というわけではないのだろうが。。。

最後に人に必要な広さについて、
トルストイ民話集の「人にはどれほどの土地がいるか」より。

日の出から日没までにの間に囲んだ土地を1000ルーブルで売買。
そうもちかけられた購入者が走りまくって日没のゴールともに死亡。
彼には墓穴の広さだけが必要だったんだね、って話。

投資家の習性なのか、居住用の不動産にお金かけるのがもったいなくて。
そのお金を○%で運用したら10年後は…とか考えてしまうから。

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