日本の歴史と文化

日本の美意識

月の満ち欠けにめぐり逢いを見る(新古今和歌集)

「恋・桜・月」は日本文化形成に不可欠な3点セットだった。 でも「月」が日本人の心の問題になった時期は遅く、 おそらく平安時代後期のあたりから、というのがこの記事。 日本はいつから「月」に目覚めたのか?...
お薦めの本

おいしさ=味×心/小山薫堂「人生食堂100軒」

小山薫堂氏は「おくりびと」や「くまモン」で有名な放送作家。 雑誌「dancyu」のコラム「一食入魂」で紹介した(2001~09年)、 600軒から100軒を選んで編集しなおした本。 料理の批評ではなく...
日本の神様と昔話

浦島太郎の原型/風土記・万葉集

浦島太郎は原型からだいぶ形が変わってしまった昔話。 「丹後国風土記」(8世紀前半?)には、 助けた亀に連れられて竜宮城へ… 玉手箱をあけるとお爺さんになってしまう という現代の中心部分は存在しない。 ...
日本の神様と昔話

東京で伊勢神宮にお参りした気分(東京大神宮)

2013年は伊勢神宮と出雲大社の遷宮が重なる年。 20年周期と60年周期の出会いだから、ほぼ一生に一度。 今月中に身辺整理を終えて…、と思い通りにはいかないもの。 せめて東京にある系列神社だけでも行っ...
食文化と美食探訪

地図は動かして遊ぶもの

世界地図は動かすことで、新しい発見があって楽しい。 国土技術研究センターのサイトから地図を2つ紹介すると、 日本は「ちっぽけな島国」という考えが一変するだろう。 こうして回転させると、日本はユーラシア...
日本の神様と昔話

アイデアは境界に生まれる/赤坂憲雄「境界の発生」

七福神の一人「えびす」様。 由来は古事記でイザナギ、イザナミから最初に生まれた神。 でも手足のはっきりしない水子だったため、葦船で海へ流される。 世界で最初に生まれた神が不具で、負い目をはね返し神とな...
日本の神様と昔話

日本では「弱さ」は「強さ」よりも深い

主人公が異常に小さく産まれて、のちに大出世。 日本の昔話にはこのパターンが意外と多い。 桃太郎、かぐや姫、一寸法師といった「小さ子」物語は、 子男神スクナヒコナ神話が源流では?と柳田国男は指摘。 「最...
食文化と美食探訪

「食」から見る大航海時代と日本の鎖国

古代ローマでもラザニアに似た食があったそうだが、 パスタが今のかたちに近くなったのは11~12世紀。 乾燥パスタがシチリアで、生パスタが北イタリアで作られはじめた。 でも味付けはチーズと胡椒をかけただ...
日本の美意識

【特別寄稿】 数寄者をめざす 私

今日は当ブログ初の試み。 室町時代の「会所」のような知的集積の「場」づくりを目指して、 読者の方からのコラムをご寄稿いただきました。 私もたびたびとりあげている「数寄」がテーマ。 「数寄者をめざす 私...
文化で読む日本経済

幣(ヌサ)が雷を呼び、虹を渡って神がやってくる

古代の日本人は「音」にとても敏感だった。 漢字の音合わせ、なんてのは今でも続いているし、 万葉仮名の伝統。ラモス瑠偉、キラキラネーム… 長らく無文字社会だったため、 人が口から発する「音」に霊力が宿る...
日本の美意識

夜明け前の茶道(茶禅・闘茶・唐物数寄)

中国史では陸羽(733-804)が「茶経」を描いて喫茶を広めた。 でも日本人がいつから茶を飲んでいたのかはっきりしない。 行基(668-749)が土木事業の過程で茶の木を植えた、 って記述もあるけど(...
日本の美意識

メビウスの輪をとりもどせ!

「メビウスの輪」って知ってる? こんなやつ。 表が裏であり、裏が表でもある。 表・裏を分けているようで、本質的には表裏一体。 はっきり分けずに「入れ替わり・立ち替わり」の感じが日本的。 日本語の成り立...
日本の美意識

岡倉天心「茶の本」の美文集・その2

今年は岡倉天心の没後100周年にあたることもあり、 私が書いた「茶の本」の紹介記事のアクセスが急増中。 岡倉天心「茶の本」を「不完全の美」で要約・編集 岡倉天心「茶の本」の美文集 この機会に私も再読し...
日本の美意識

日本はいつから「月」に目覚めたのか?

私たち日本人は時代を超えて、月に憧れをいだいていた。 でも、それはいつ頃からなのだろう? 古代より闇夜を照らす月光は神秘的な印象を与えただろう。 でも日本の神話における、月神の扱いは冷淡なもの。 ギリ...
日本の美意識

夢でしか会えない神仏/明恵上人&梁塵秘抄

日本史で「夢」と言えば「夢記」を残した明恵上人が有名。 この人の夢に対する感覚は不思議なものがある。 叔父の上覚が、 見ることは みな常ならぬ うき世かな 夢かと見ゆる ほどのはかなさ はかない夢より...
日本の美意識

まほろば・うるはし・うまし/古代人の日本観

暑さゆえに移住の話をすると「どこの国へ?」と聞かれる。 私は日本より良い国はなんかあるわけない!と思ってるけど、 (とくに「食」の面で→ミシュランガイドの星の推移や国際比較) 世間一般にはどんよりした...
日本の神様と昔話

桃太郎の背景にあるもの/古川のり子「昔ばなしの謎」

かつて物語の「もの」には「霊」という意味があった。 まるで取り憑くように人の心を捕らえたのが昔話。 そしてその背景には何か大切なことが隠されている。 たとえば桃太郎。 「桃」は陰(死)と陽(生)の境に...
文化で読む日本経済

倹約は創造的な努力/石田梅岩「都鄙問答」

現代の日本人は経営学というと、すぐにアメリカに目を向けてしまう。 でも日本には、アメリカ建国(1776年)以前に設立の企業が数多い。 たとえば日本の上場企業を設立が古い順ベスト3は、 松井建設(158...
しあわせのかたち

丿貫(へちかん)のわび茶

千利休と同世代にノ貫(へちかん)という茶人がいたらしい。 戦国時代の名医、曲直瀬道三の姪婿と伝えられている。 世俗を離れ、自由奔放に茶を楽しむのみ。 当時の流行だった高価な茶器を集めることもせず、 雑...
万葉集

柿本人麻呂の和歌で詠む七夕の心

織姫と彦星の七夕にまつわる星の伝説。 万葉集の時代には、すでに日本人の心をつかんでいて、 とくに10巻には98首もの七夕の和歌が並んでいる。 その中から柿本人麻呂が詠んだものをいくつか。 夕星も 通ふ...