倹約は創造的な努力/石田梅岩「都鄙問答」

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現代の日本人は経営学というと、すぐにアメリカに目を向けてしまう。

でも日本には、アメリカ建国(1776年)以前に設立の企業が数多い。

たとえば日本の上場企業を設立が古い順ベスト3は、

  1. 松井建設(1586年)
  2. 住友金属鉱山(1590年)
  3. 養命酒製造(1602年)

ビジネスを学ぶ際は、必ず日本の過去にも目を向けないとダメ。

日本史で最初に商業が盛んになったのは、おそらく江戸時代。

ただ「日本永代蔵」にもあるよう、社会性の欠如した事業が多かった。

そんな中、事業の継続性には倫理観が必要!と言われ始める。

そこで現れたのが、石田梅岩都鄙問答(とひもんどう)」(1739年)。

商人の心得が描かれた一冊。

その根幹部分の「商人の道を問の段」から一部紹介すると、

商人は勘定委くして、今日の渡世を致す者なれば、一銭軽ろしと云ふべきにあらず。是を重ねて富をなすは商人の道なり。富の主は天下の人々なり。

(商人は、損得勘定を計算することで毎日の暮らす者だから、一銭でも軽々しく扱うことができない。こうした僅かな利益を蓄積して富を得るのが商人の道。だから富の主人は、この天下の人々だ。)

そしてこうした心得でいれば、

天下公の倹約にもかなひ、天命にかなふて福を得べし。福を得て万民の心を安んずるなれば、天下の百姓といふものにて、常に天下太平を祈るに同じ。

(世の中全体のための節約の趣旨にそい、かつ天命にも適合しているわけで、幸せをうることになるだろう。自分が幸福になり、同時に世の中のすべての人々の心に満足をもたらすものならば、農民と同様に世の中の財産といえる存在で、常に天下太平を祈るのと同じ働きがあると言える。)

石田梅岩の説く「倹約」は決して後ろ向きなものではなく、

利益をもたらすための創造的な努力、といったところ。

世界のために三つ入る物を二つにてすむようにするを倹約という。

といった言葉も残していて、今で言う「カイゼン」に近い。

そして清廉な事業運営の末に、商人の手元に利益が残るなら、

世の中全体が潤っているはずだ、と説いている。

こんなことが言える投資があったらいいな。

私が儲かっているのだから、世の中のためになってる♪みたいな。

自分のお金が社会のどこかで役に立っていて欲しい、

と願いながらも、実感のないままお金が増えた上半期。。。

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