かつて物語の「もの」には「霊」という意味があった。
まるで取り憑くように人の心を捕らえたのが昔話。
そしてその背景には何か大切なことが隠されている。
たとえば桃太郎。
「桃」は陰(死)と陽(生)の境にある生命力の象徴。
古事記では悪霊に追われ黄泉の国から逃げるイザナキが、
地上との境(黄泉比良坂)に生えた桃に助けられる場面がある。
鬼を退治する主人公は「桃」から生まれる必要があった。
また桃太郎の従者、犬、猿、雉。
十二支では「戌」、「申」、「酉」にあたり、
陰陽五行から解釈すると、桃は金気の果実で西方の象徴。
だから西を固める三匹が従者に選ばれたのだという。
本書ではこの他に、犬、猿、雉のそれぞれの役割や、
キビ団子は異世界を往き来するための食べ物、
といったことが書かれている。
でも私にはまだまだ分からない謎がある。
桃太郎以外の昔話にも共通する内容だけど、
- 主人公の母親はどこへ行ってしまったのか?
- おじいさん、おばあさんが子を授かるのがなぜ王道?
- 桃や瓜、竹などから異常に小さく産まれるのはなぜ?
- おじいさんはなぜ「山」へばかり出かけて行くのか?
語り継がれた物語には何かしらの母型があり、
日本の成り立ちが隠されているのでは?
と考え始めると、なんだかワクワクする今日この頃。
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