私だけが勝手に思い込んでいるのかもしれないけど、
鎌倉幕府の北条氏に対するイメージが、
ここ数年でだいぶ変わったような気がするんだよね。
悪役のように扱われていたのが、承久の乱が再評価され、
日本史上、最大の歴史的転換点と言われるようになった。
そして立て続けに書籍や大河ドラマが人気に。
- 坂井孝一「承久の乱 真の「武者の世」を告げる大乱」(2018年刊)
- 本郷和人「承久の乱 日本史のターニングポイント」(2019年刊)
- 山本みなみ「史伝 北条義時: 武家政権を確立した権力者の実像」(2021年刊)
- 鎌倉殿の13人(2022年大河ドラマ)
最近になってイメージが悪から善へ転換と思いきや…。
鎌倉幕府滅亡後の南北朝時代、南朝の正統性を主張するため、
北畠親房が記した「神皇正統記」の中にこんな記述があった。
神皇正統記では承久の乱で朝廷が敗れたのは、
北条義時、泰時が徳政を心がけていたから、
北条氏を滅ぼすような道理がなかったからだと記される。
天皇支配の正統性を訴えるために書かれた歴史書に、
こんなふうに評される北条氏って相当スゴイ!
おそらく明治以降に天皇に刃を向けるとはけしからん!
という風潮の中、歴史を正しく評価できなくなっていたのだろう。
その呪縛から開放されるまで約100年。
よく言われるように「すべての歴史は現代史」ということなんだね。
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