早川書房のKindleセール(7月14日まで)つながりで、
を読んで面白かったら次は、
へ読み進めると、
歴史(テレグラム)から現在(インターネット)へ理解が深まりそう。
本書はサイバースペースを物理的なインフラから論じた一冊。
具体的にはデータセンターや海底ケーブルに焦点をあてている。
最大需要地の東京の近くにデータセンターを設置するため、
千葉ニュータウンあたりにセンターが集中してしまっている。
その結果、軍事目標として格好の標的になってしまうと指摘。
また国際通信の99%を海底ケーブルに依存する日本にとって、
国際法上の限界とケーブル陸揚施設の防御意識の低さが気になる。
国連海洋法条約112~115条に海底ケーブル保護の規定はあるが、
- 国の所有物が対象で、民間企業が引いたものは対象外
- 物理的な損壊に限定され、通信傍受やサイバー攻撃は規定の範囲外
- 他国のケーブルに損害を与えても、加害国が自国民を処罰しない場合は実効的な保護が困難
という穴だらけの状態。
つまり武力紛争時の意図的な破壊に対して、現行法では抑止力がない。
実際に近年、大西洋方面の海底ケーブルではロシアが怪しい動きをしており、
- アイリッシュ海の海底ケーブル敷設ルート付近をロシア深海調査局の「ヤンタリ」が航行した事案(2021年)
- ノルウェー海で海底ケーブルが切断された事案(2022年)
- ロシア海軍の海洋観測艦「アドミラル・ウラジミルスキー」が英スコットランド沿岸のマレー湾に3日間にわたって停泊した事案(2022年)
- 英シェトランド島沿岸を通る海底ケーブル2本が同時に切断された際、付近でロシアの科学探査船が目撃された事案(2022年)
- フィンランド=エストニア間及びスウェーデン=エストニア間の海底ケーブルが同じ日に切断された事案(2023年)
- バルト海の海底ケーブル集中海域で50隻以上に及ぶロシア艦船が活動した事案(時期不明)
そして日本には意図的な破壊よりも大きなリスクがある。
ケーブルの陸揚げ拠点が房総半島や志摩半島に集中しているため、
南海トラフ巨大地震等が起きた場合の影響は計り知れない。
さらにケーブル陸揚施設の防御意識が極めて低く、
著者が現地を確認したところ、簡単に侵入可能な状態とのこと。
本来であれば原子力発電所と同程度の警備が必要と指摘されていた。
調べてみると、総務省から2022年4月に発表されている
「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」の中で、
対策が論じられてはいるが、どれくらい進んでいるのか不明だ。












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