読んだ本と振り返る2016年/科学ですべてお見通し?

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昨年春に自宅と駅との間に図書カウンター(貸出・返却のみの図書館)ができて以降、
本棚のパンクを気にすることなく、たくさんの本を読むことができるようになった。

そのおかげで厚めの一般向けの科学書を読む割合が以前より増えたような気がする。
そんなわけで今年読んだ印象的な科学書を振り返ってみる。

年初に手にとった科学書は岩波ジュニア新書の一冊。

ダーウィンの進化論に対する誤解が整理できてスッキリした。

進化が進歩にすり替えられた要因を今一度考えてみるならば、

  • イギリス社会における人種差別・植民地主義の風潮により、
  • 非西欧社会は自分たちより進化していないという考え方に
  • 科学的正当性を備えるために利用された

という時代背景があったのではないだろうか?

優劣と言えばともすれば植物より動物が優れていると思いがちだが、

では読むことで知性や学習、コミュニケーションといった能力は、
動物の専売特許ではなく、植物にも共通していることに気づかされる。

また脳科学や遺伝子関係には興味深いものが多く、
最新の研究論文をコラム調で平易に紹介した本がおもしろかった。

ここで紹介した以外にも被験者に「自分は社会的地位が高い」と思って行動させると、
下流層の人でも貧欲さが増し、非道徳的な態度になる研究結果も興味深かった。

モラルの低さは生まれつきではなく、その地位が作ったものということだ。

このほかに刺激的だった一冊は、その人が犯罪を起こしやすい人物かどうかが、
脳や遺伝子から分かってしまう未来が着実に近づいていることが感じられた本。

だが調べなければ分からないだけマシかもしれない。
外見の良し悪しが人生を左右する研究がゴロゴロあるから。

科学は時に残酷な事実をつきつけるもの。
それでもなお探究の手を止めることができないのは、
好奇心はもちろん、誰もが自分自身を知りたいという想いが強いからだろう。

他人事とは思えない話に出会うと面白いからね。

今年は宇宙物理学の本をほとんど手にとらなかったけど、
世界の果てを探究する宇宙物理学と、人の内側を突き詰める脳科学。
両端にある学問に関する本を読みあさるのが、ひとつの趣味になりつつある。

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