安全資産・リスクオフとしての「円買い」はどこへ行ったのか?

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今年4月に1ドル125円を超えた円安になり、
これまで歓迎されてきた円安が、世間で警戒されるようになった。

私自身は6月になって1ドル130円を超えても、
どーせ為替相場なんて考えても分からないし…というノリだった。

でも9月に入ってから1ドル140円を超えてくると、
さすがになんか変だぞ、ちゃんと考えなきゃマズいなぁと。

そんなタイミングで出版されたのが、

著者はテレ東「モーサテ」の解説でよく見かける方だ。

そういえば、安全資産・リスクオフとしての「円買い」、
という言葉をあまり聞かなくなっていた。

最近の一番の円買いと言えば、リーマン・ショック後の通貨安競争で、
巨額の貿易黒字を抱えるデフレ通貨として円高が進んだ記憶がある。
リーマン・ショック前の115~120円で大量にドルを買った私にとって、
米国株投資は為替差損を取り返す戦いでもあった。

為替相場が円高に動きづらくなった背景として、
著者がまず示すのは「国際収支の発展段階説」に見る構造変化。

2011~2012年頃から貿易収支が赤字化したことで1段階進み、
今年に入ってからウクライナ情勢に伴う資源高により、
さらにもう1段階先の「債権取り崩し国」へ進むのではないか?
そんな予感があれば、以前のような円買いに進むはずもない。

またCOVID-19襲来後に政策的にも悪手を連発していまい、
トドメを刺すかのように、「成長より分配」を掲げる岸田政権が誕生。

「保守的な世論を念頭に新型コロナウイルス対策で貫徹された「経済より命」路線や原発再稼働をタブー視する雰囲気の結果、日本はパンデミック後の2年間(2020〜2021年)で「成長を諦めた国」のポジションにすっかり定着した。」

「人口が減少し、資源も乏しい国が成長をあきらめてしまえば、貧しさだけが増してしまう。」

以上のことから、円高になりにくく、円安になりやすい環境が整っていた。

さらに今後、予想される円安要因としては家計の動きがある。
岸田政権は「資産所得倍増プラン」を掲げているが、
家計の投資先は日本株ではなく主に米国株に向かうはず。

「日本では一度定められた方向に皆が走り出すとその空気感が社会を支配し、展開が非常に早く進む傾向にある。資金循環統計における家計部門の現預金(外貨預金を除く)が10%動くだけでも100兆円規模の円売りになる。それは本書執筆時点での経常黒字に換算すれば5〜6年分に相当する。」

家計の現預金はタンス預金ではなく、銀行に預けられていれば、
たしかに家計にとっては資産を生まない「死に金」(デフレで価値は上昇したが)。
しかし、銀行が国債に投資し、政府が公共事業に振り向けることで、
日本経済の資金循環構造が成り立ってきたことを忘れてはならない。
安易な「貯蓄から投資へ」の推進はリスクとなる、と著者は説いている。

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