インターネットが本格的に普及を始めようとしていた頃、
その後に起きることを予言したような本が出版されていた。
もちろん19世紀にインターネットがあった訳ではなく、
「電信(テレグラフ)」の歴史を描いた一冊だ。
電信とインターネットの類似点をざっと書き出すと、
- 海底ケーブルによって世界中を結ぶネットワークを構築し、地理的距離に関わらず情報を伝達できるようになった。
- 国家間の誤解を取り除き、平和と強調を広めると当初は期待されていた。
- 電信を仲介するオペレーター同士の略語(今のネットスラング)、電信を使った遠隔結婚式(今のオンライン恋愛)が生まれる。
- 電信を使って投資情報の不正入手、その他詐欺や盗聴を防ぐための暗号化等、現在のサイバー犯罪に似た犯罪が社会問題になる。
- 電信への頼りすぎが問題視され「電信は本来自分で判断すべき人々の士気をくじく」と嘆かれる。
- 電信による文字通信の究極の形が、電子メールやSNSと考えることもできる。
私たちは自分たちが生きる今こそが最先端!と思いがち。
そんな幻想に囚われないために、読んでおきたい一冊。
海底ケーブルつながりで土屋大洋「海底の覇権争奪」から少々。
海底ケーブル開通する2017年以前のパラオは、
国全体で30Mbps未満という超低速だった!(人工衛星通信)
電信時代に敷設が始まった海底ケーブルは、いまや海洋国家の生命線。
中国やロシアのような大陸国家が海底ケーブルにさほど頼っておらず、
ということは…、地政学上の一大テーマなのである。
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