2025年に最も印象的だった本を選ぼうとしていたら、
この年末にとんでもない良書に出会ってしまった。
アメリカの福音派は、世界の終わりが近づいていると信じ、
伝統的な価値観を揺るがす存在を悪とみなし、
それに立ち向かうことで破滅から救済されると信じる宗教集団。
近年の主な政治的主張は、
- 人工妊娠中絶、同性愛、男女・人種の平等への反対
- 国際社会的に批判されるイスラエルの擁護
トランプ登場の頃から福音派という用語が、
メディアで頻発するのかと思っていたが間違っていた。
1980年の大統領選へ向けての共和党大会。
ロナルド・レーガンが、福音派への支持を仰ぐため、
保守的な公約を発表する際に唱えたフレーズが、
“Let’s Make America Great Again.”
現在のトランプによる「MAGA」はこれが由来。
レーガン時代には公約が守られることはなかった。
しかしジョージ・W・ブッシュの時代(2001~2009)には、
批判的な国民はアメリカが福音派に乗っ取られたと感じるほどに。
福音派はブッシュの政治判断に大きな影響を及ぼし、
その最たるものが、あの疑惑まみれのイラク戦争だったという。
- ネオコンの軍事政策(アメリカ主導による自由主義的な世界の構築)
- 福音派のイスラエル保護(イスラエルを祝福する者は神によって祝福される)
両者の目的が一致して、ブッシュの判断を後押しした。
ブッシュ自身も福音派を信仰しており、一般的な福音派と同様に、
個人的な感情の高まりを神の召しとみなすことが少なくなく、
政治的決断の過程で非論理的な跳躍しがちと批判されていたらしい。
そして現在、福音派の終末論は、Qアノンの陰謀論にも結びつき、
暗殺未遂やメディアの攻撃をものともせず邁進するトランプを、
闇の力に立ち向かう神の力があるかのようにみなしている。
福音派がやっかいなのは、終末論的な世界観のなかで、
対立する相手をサタンや悪魔の手下とみなす傾向があること。
これでは言論活動を通して合意や妥協点を見出そうとする、
近代の自由民主主義の考え方とまったく噛み合わない。
その結果、アメリカ社会の分断が広がってしまう。
また、政治と宗教の境界線が曖昧になることで、
権力者への忠誠と敵への攻撃が神の意志への服従と混同され、
無批判な権威主義が蔓延する危険性も高まっているという。
現在のアメリカを理解するうえで必読の一冊だ。






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