めくるめく和歌の世界

百人一首

セレンディピティとはめぐり逢うこと。

「セレンディピティ」という言葉の持つ意味が、人生の本質を突いているように思えた。 しかしカタカナ語をこれ見よがしに振りかざす人間ほど信用できないものはない。他の人々に理解しにくい言葉を使うことで、優越感に浸っているだけだから。 ならば「...
百人一首

愛ゆえに気付く命の尊さ/百人一首50「君がため…」

百人一首の恋歌で、なんとなく親しみがわくのは、陽成院の「恋ぞつもりて…」とこの一首だ。 君がため 惜しからざらし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな あなたのためなら、命も惜しくないと思っていた。 でも恋が成就した今は、いつまで...
古今和歌集

「黄」の佐保山と「紅」の竜田川。古今集・紅葉の和歌

「もみじ」に当てられた漢字が「黄葉」から「紅葉」へ変わり、 和歌に詠われるイメージも変わることを書いた。 もみじが「黄」から「紅」に変わる頃に/百人一首24「紅葉の錦 神のまにまに」 これを...
万葉集

もみじが「黄」から「紅」に変わる頃に/百人一首24「紅葉の錦 神のまにまに」

もみじの語源 かつて日本人は 無文字社会からの移行期の万葉仮名の時代、 木の葉が色を変えることを「モミツ(毛美都)」と呼んでいた。 それが「モミチ(毛美知)」と名詞化し、万葉集の時代になると、 「黄葉」を「モミチ」や「モミチバ...
万葉集

あおによし奈良の都の咲く花…そんな読み方もあるのか!

奈良を詠った万葉集の和歌。 あをによし 奈良の都は 咲く花の にほうがごとく 今盛りなり ここで詠まれている「花」は何の花を指しているのか?小野妹子のひ孫にあたる小野老(おののおゆ/生年不詳~737年頃)が、大宰少弐として大宰府に派遣さ...
日本の美意識

古今和歌集から笈の小文へ受け継がれる美意識

日本の思想・哲学の源流を求めると、 紀貫之が書いたとされる「古今和歌集」の仮名序にたどり着く。 「やまとうたは、人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける。世の中にある人、ことわざしげきものなれば、心に思ふことを、見るもの聞くものに...
めくるめく和歌の世界

藤原定家、中秋の名月を詠う

今晩は中秋の名月ということで、藤原定家が詠んだ旧暦八月十五夜の月の和歌を探してみた。 しかし定家の自選和歌集「拾遺愚草」約2,700首のうち、詞書きから中秋の名月の歌と分かるのはたったの4首。 その一方で九月十三夜の月歌は数多く、昨年も...
百人一首

長谷観音に願いをかけて/百人一首74「初瀬の山おろし」

うかりける 人を初瀬の 山おろし はげしかれとは 祈らぬものを 金葉和歌集の撰者、源俊頼(1055~1129)の一首。 初瀬は現在の奈良県桜井市の地名でもあり、この地の長谷寺に祀られる十一面観世音菩薩は古来より信仰の対象。ここの菩薩...
新古今和歌集

藤原定家の桜歌/拾遺愚草より10首

腰が壊れて動けなくなった時に(実は未だに完治せず…)、藤原定家の自選和歌集「拾遺愚草」をタブレットで読んでいた。※このサイトでPDF版がダウンロードできる! まもなく桜の時期がやってくるので、目に止まった定家の桜の和歌を10首ほど選んでみ...
古今和歌集

古今和歌集の見事な編集術。その裏にはよみ人しらずの陰謀?

未知の情報が世にあふれると、いかにその情報を編集し、知を体系づけたくなるのが、私たち人間の性なのだろうか。 ルネサンス期のヨーロッパでは、 宗教的な抑圧から解放された知 東ローマ帝国滅亡で流入した古代ギリシア・ローマの知 航...
万葉集

白村江の戦い、壬申の乱を詠わない万葉集

手当たり次第に万葉集の関連図書を読んでいてふとした疑問。 万葉集がカバーする年代の初期の大事件、 白村江の戦い(663年) 壬申の乱(672年) にまつわる歌が一首しか見当たらないのはなぜだろう? 熟田津に 船乗りせむ...
万葉集

万葉人の桜/百人一首61「奈良の都の八重桜」

いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな 藤原道長の娘で一条天皇の中宮・彰子に仕えた歌人の一首。奈良から宮中(九重)に献上された八重桜を愛でている。 平安時代には京都では八重桜は珍しかったようで、鎌倉時代の兼好法師...
万葉集

神の山になびく洗濯物?/百人一首2「天の香具山」

春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山 持統天皇(645~702)の一首で、万葉集(巻1・28)に収録されている。 この時代の都は現在の奈良県橿原市の藤原京にあり、そこから東に香具山、北に耳成山、西に畝傍山の大和三山...
めくるめく和歌の世界

紀貫之、水底に写る情景を詠む。

新年を迎えると、なんとなく和歌の気分なので、紀貫之の和歌集「貫之集」を手に入れ、パラパラ読んでいる。 約6割が屏風歌 貫之集は全9巻に分かれており、そのうち4巻が屏風歌。屏風に描かれた情景を歌題に詠んだ和歌が全体の約6割を占める。 そ...
百人一首

七草の習慣が庶民に広がるのは平安末期?/百人一首15「若菜摘む」

君がため 春の野に 出でて若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつ 百人一首に収録される光孝天皇(830~887)の和歌。 意味を知らずに読むとなぜ天皇が葉を摘んでいるのか?となるが、実はここでの「若菜」とは今でいう「春の七草」のことを指...
日本の美意識

中秋の名月よりも九月十三夜の月を愛でる

以前、古今和歌集に中秋の名月の和歌がないことに気がつき、竹取物語に絡めて、当時の月のイメージが原因では?と考えた。 中秋の名月を詠わない古今集。月が不吉な竹取物語。 付け加えるなら、そもそもこの頃の日本には月見の習慣なく、唐では八月...
日本の美意識

十六夜の月はためらいながら夜空へ

中秋の名月を前に月の古典をいろいろ調べていたら、満月の翌日の十六夜にまつわる認識がおもしろかった。 十六夜は「いざよい」と読む。これにまつわる目に止まった古典を2つ引用すると。 まずは源氏物語の夕顔より。 「いさよふ月に、ゆくりな...
めくるめく和歌の世界

夏越の祓の和歌

旧暦の6月30日、現在の8月上旬~中旬に行われた 「夏越の祓」(なごしのはらえ)。 気候的にはちょうど今ごろ行われた行事だ。 本来は「年越の祓」とセットで、 水無月の 夏越の祓い する人は 千歳の命 延ぶといふなり と詠まれたよう...
西行「山家集」

西行「山家集」より真夏の夜の月

暑い日が続くので涼しさが感じられる和歌を探してみた。西行「山家集」から夏の月歌を4首ほど。 涼を求めて泉で出会った月を詠む むすびあぐる 泉にすめる 月影は 手にもとられぬ 鏡なりけり むすぶ手に 涼しき影を 慕ふかな 清水に...
新古今和歌集

新古今和歌集の七夕の和歌が涼しげ。でも当時の気候と合わない?

旧暦の7月7日は今の暦では8月頃に該当する。よって立秋後ということで七夕は秋の行事とされる。 鎌倉時代初期の1216年に成立した新古今和歌集には、下記のような涼しげな七夕の和歌が並んでいるが… 七夕の 天の羽衣 うち重ね 寝る夜涼し...