タコの吸盤はセンサー。
情報を伝える神経細胞は体全体で約5億個あるが、
そのうち3億個は足の中心に走る神経節細胞。
脳よりも足に情報伝達装置が配置されているのだ。
ちなみに吸盤には触覚だけでなく味覚もあるらしい。
そしてタコの足は、すべてが脳の司令で動いているのではない。
頭に加えて8本の足を加えた9つの脳を持っているとも言える。
パスカルの「考える葦」ならぬ「考える足」である。
またタコは触覚だけでなく視覚も優れており、
隣の水槽で実験をしているタコを観察し、学習することができる。
外界環境に対する強い好奇心を持っているようだ。
進化の過程で体を守る硬い殻を捨てた要因のひとつかも。
本書で示されるタコの知性を目の当たりにして、
気になることといえば、調理法問題。
とくに甲殻類に痛覚があるからということで、
ヨーロッパでは調理法に法律的な制限が設けられている。
- 生きたまま焼かれ、沸騰した湯に投げ込まれ、半分にされて皿に盛られるエビやカニ。甲殻類の苦しみ。(アニマル・ライツ・センター)
痛覚だけに焦点をあてているうちはいいかもしれないが、
そのうち知性にも話が広がっていきそうな予感がする。
そうすると植物の知性についても問題になるわけで。
- 植物は<知性>をもっている(16/03/21)
知性や学習、コミュニケーションといった能力は、
動物の専売特許ではなく、植物にも共通している。
たとえば草刈りの後に、草の香りが充満するのは、
周辺の仲間に「やられた!」と知らせるための、
断末魔の叫びだったりするのだ。
漁業や農業に携わる人たち、料理人の人たちが攻撃される、
変なハラスメントに発展しそうな嫌な予感がする。
人は善悪や美醜など二元論に走ると暴力的になるものだから。
- 人は善悪の境界を引くと暴力的になる(16/09/06)
知性は余計な苦しみも生んでしまう。
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