浜田岳史「美食の教養」 食を知的に楽しむための必読書!

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いつからか「教養としての〇〇」「○○の教養」と名の付く新刊書が増えた。
「教養」という言葉につられて私も結構な冊数に目を通してしまったが、
ほとんどが教養につながるのか理解不能な、タイトル負けした本ばかり。

これまで読んでよかった!とお薦めできるのは一冊しかないかも。

ただ先ごろ発売されたこの本は、外食好きの方には必読。

著者の名前で「あー!」と気が付く方はおそらくエンゲル係数が高めだろう。
OAD(Opinionated About Dining)という、
イメージとしては食べログの全世界版のようなレストラン評価サイトで、
レビュアーランキング世界1位の日本人だ。

著者は、美食とは高級なお店で食事をすることではなく、
「文化をまるごと食べること」「食の文化人類学」と説く。
だから知的好奇心にかられて、人生を外食に全振りしているのだと。

興味深い記述が満載だったが、一番響いたのはこの部分。

「日本が経済的に地盤沈下すればするほど、インバウンドをターゲットにしたお店が増えていきます。日本人にとっては残念ですが、普通の日本人の感党だと高すぎて行けない店も増えていくと思います。そして、そういうお店が、高値で食材を買う可能性も強い。そうすると、極端な話、日本の最高の食材は、日本人の口には入らないということにもなりかねません。日本人からすると「考えられない」「あの料理にあんな値段を払うのか」ということになるかもしれませんが、そもそも、経済が衰退するというのは、そういうことなのです。」

COVID-19襲来による休業明け以降、様々なお店で値上げが相次いだ。
通っていたお店であれば、職業病から経営状態を見積もってしまうので、
「たしかにそうだよね」と値上げがあっても納得して付いていける。
でも情報の少ない未訪問のお店だとそうはいかないんだよね。

本書のなかで著者も指摘していることだけど、
美味しいに決まってる高級食材を多用する値段の高い店は嫌。
少なくとも魚介に関しては、温暖化の影響や海外に買い負けたりで、
昔より質は下がることはあっても、上がることはまずない。
食材に依存した料理を提供する店に、長く通うことはできないのだ。

外部環境を頭に入れながら、長く通えるお店を探すのは、
長期投資に値する企業を探すのとかなり似ているように思う。
私が楽しいと思うものって、突き詰めるとどれも同じなのかもしれない。

 

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