書籍の表裏が分かりにくいわけ/ヘンリー・ペトロスキー「本棚の歴史」

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本の部分の名称で「背」と言われると、どこ?と混乱しがち。

本棚に並べたときに、こちら側に向いている、
タイトルが書かれた部分が「背」に該当する。
というような表現をすると表側なのに「背」なの?と混乱する。

でも歴史的な背景を知ると、なるほど!となった。
以下の引用は、ヘンリー・ペトロスキー本棚の歴史から。

「中世時代に本が初めて列を作ってきちんと並べられるようになったとき、これまで述べた様々な理由から、本の背は内側に向けて置かれた。さらに、本の背は「裏側」、つまり工芸品の機能的な部分であり、世間にお見せするような代物ではなかった。実際、鎖を取り付ける装丁部分としては最もふさわしくないうえに、体裁も一番悪い部分なので人目にさらさないほうがよい、と考えられていたようである。」P106

初めて本棚に本を並べたとき、今とは逆向きに置いていたということだ。
また本が高価だったため、本の背には本棚と本を繋ぐ鎖を取り付けられていた。

でもその状態だと、どうやって目当ての本を探すのかが気になってくる。
初期の図書館では、本棚の端に本のリストが貼られていたらしい。

本が高価なものとされ、大型の図書館でも千冊程度の蔵書の頃は、
上記の様な本の並べ方でも、なんとかなった。
しかしグーテンベルク以降、本が手に入れやすくなると状況が変わってくる。

また同時に本に統一感を持たせた装丁を施す習慣が流行りだし、
内容を示す印を本の背につけ、背を外に向けて本棚に収納されるようになった。

大きな図書室で本の背をすべて外に向けて並べた最初の例は、
約8,000冊の蔵書があったとされる、フランスの政治家で歴史家の
ジャック・オーギュスト・ド・トゥー(1553~1617)の書斎だという。

ちなみに日本語の場合は縦書きもできるので問題ないが、
英語圏では本の背にどっち向きにタイトルを書くか論争になっていたようだ。

「新しい習慣が導入されたときにはよくあることで、驚くほどではないが、題名を下から上へ向かって書くのか、その逆か、さらに水平に書くのか、といった問題に対して意見の相違が生じた。実を言うと、英語圏の国々では、二十世紀半ばまで決着がつかず、イギリスで装丁された本は下から上へ、アメリカで装丁された本は上から下へ題名が書かれていた。やがてイギリス式の題名表記はアメリカ式に敗北したが、その理由は、アメリカ式のほうが、本の表紙を上に向けて置いたときに題名が読みやすく、理にかなっているという言い方で説明できる。」P136

本の並べ方の歴史は技術革新の歴史でもあり、興味深いテーマだ。

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