鹿島アントラーズの企業価値。メルカリ買収時の決算書を読む。

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日本のクラブチームの企業価値はいくらぐらいなのか?

それを知るためのちょうど良い例として、
メルカリが鹿島アントラーズの株式を取得した際の、
ブレスリリースや決算書を読んでみる。

2019年7月にメルカリが日本製鉄から株式の61.6%を取得。
(※参考資料…メルカリのプレスリリース

  • 株式の61.6%を15億8,800万円で取得
  • この時点の企業価値は、25億7,800万円(=15億8,800万円÷61.6%)として株式が売買されたことになる。

まずは直近決算の2019年1月期の貸借対照表を見てみると、
前回のマリノスとは段違いの安定感。

でも純資産21億6,600万円のたった1.2倍(=25.78÷21.66)の企業価値?
Jリーグ設立以来、強豪クラブの地位を保ち続けたアントラーズ。
非財務価値(ブランド等)がこんなに小さいのか?

これだけ評価が低くなった理由は損益計算書で説明できそうだ。
2015年1月期~2019年1月期の5期分の損益計算書を見てみると、
赤字になったり、黒字になったり経営が不安定な印象。

強いて言うと「その他収入」の数値が高めの時が黒字だろうか。
その他収入には、選手の移籍金が含まれているので、選手が高く売れた時は黒字。
選手の成長に賭ける経営は行き当たりばったりな印象だ。
その他収入がなくても営業黒字になるのが理想的だと考える。 

それゆえに純資産に対して、低めの企業価値と判断されたのだろう。
ちなみに当期純利益を5年平均にすると、1億1,500万円。
5年平均利益の22.4倍(=25.78÷1.15)での株式売買となる。

親会社がメルカリになってさあどうなる?
という矢先にCOVID-19が襲来し、経営改革もままならない状態。
赤字と負債が膨らみ、2022年5月に第三者割当増資を行い、
メルカリとLIXILが引受けている。(増資額13億7,200万円)

2019年にメルカリが筆頭株主になった際は、
「こんな金額で日本の強豪クラブが買えてしまうのか!」と驚いたものだ。
しかし決算書に触れることでクラブ経営の難しさを痛感したのだった。

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