外国人の語る日本論はいつもおもしろい。
「心」「和歌」「日本語」をキーワードに、日本の「あいまいさ」に迫る。
「虚空よく物を容る。我らが心に念々のほしきままに来たり浮かぶも、心という物なきにやあらん。」(徒然草235段)
心に様々な思いが気ままに出入りするのは、心に実体がないからか?
兼好法師は私たちの心のうつろいやすさを虚空にたとえて嘆いた。
でも、心がうつろいやすいのは、恋や四季といった美の面影を映すから。
そしてその心を表現したのが和歌。古今集の仮名序に目を移すと…
「やまとうたは、人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける。世の中にある人、ことわざしげきものなれば、心に思ふことを、見るもの聞くものにつけて言ひだせるなり。花に鳴くうぐひす、水に住むかはづの声を聞けば、生きとし生けるもの、いづれか歌をよまざりける。」
和歌は心を表現するものではなく、心から自然と生まれてくるもの。
ウグイスや蛙が鳴くように人が「歌を詠む」ことは「生きる」こと同じ。
人・心・言葉・自然に境界線はない…、だからこそ日本は「あいまい」。
こんな調子でさまざまな和歌を引用しながら日本を読み解く。
たった31文字で果てしなき心を表現した和歌。
外国人がここまで語るなら私も負けられない!と妙にやる気の出る1冊。
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