ル・ボン「群集心理」は、人間の条件、大衆の反逆の源流。

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今月のNHK「100分de名著」が、ギュスターヴ・ル・ボン群集心理

まだ読んでいなかったので、この機会に手に取った。
これまで読んだ本と歴史との関連をつなげると、こういう流れかなと。

こういった系譜の本から、現状と照らし合わせて、学びがあると言うのは…

ル・ボンはオルテガやアレントよりも辛辣な言葉を書き綴っている。

「群衆は、思考力を持たないのと同様に、持続的な意志をも持ち得ないのである。」

「相互のあいだに見かけだけの関係しか有しない、相異なる事象を結合させること、特殊な場合をただちに一般化すること、これが、集団の行う論理の特徴である。」

「群衆が正しく推理する力を持たないために、およそ批判精神を欠き、つまり、真偽を弁別し、的確な判断をくだす能力を欠いていることは、つけ加えるまでもない。」

「合理的な論理の法則は、群衆には何の作用をも及ぼさない。」

「大部分の個人は、特に俗衆のうちに立ちまじれば、自分の専門以外には、何らはっきりした理詰めな考えを持たなくなり、自ら身を処することもできなくなる。」

そういえば10年近く前にベストセラーだった、
ジェームズ・スロウィッキー「みんなの意見は案外正しい?」(2009)は、
逆に群衆の知恵は専門家の知恵に勝るという内容だったと思う。
細かい内容を思い出せないので再読してみなければ。

ただあの頃はインターネットの普及による集合知に期待が寄せられ、
その流れに乗って出てきた一冊だったのかもしれない。
その後のネット社会は「自分好みの無限ループ」に陥って、
集合知の期待は薄れ、どちらかというと衆愚の方へ進んだように思える。

投資家としては、群衆や大衆からは距離を置き、
彼らが熱狂や恐怖によって生み出す時代の波を利用する立場でありたい。
だからこの手のジャンルの本は必読だね。

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