道を見つける力を手放し、海馬を鍛えなくなった人類の未来は?

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スマホとGoogle Mapがなかった頃、とにかくよく道に迷った。
子供の頃から記憶力には自信があったので駅前の地図をスキャンして、
後で戻って来られるように、目印となるものを記憶しながら目的地を目指す。
それでも特にラーメン屋は家賃の関係で分かりにくい場所にあるから、
たどり着くまで苦労して、それゆえにより美味しく感じたのかも。

こうして脳内のナビゲーション機能を駆使する時、活発になるのが「海馬」。
かつては不可欠だった海馬を利用した“Way Finding道を見つける力)”が、
GPSに取って代わられるようとしているが、このままでいいのだろうか? 
そしてこれまで私たちはこの能力をどのように使ってきたのか?

そんな内容をまとめた一冊が、

これはなかなか興味深い内容だった。

「わたしたち人類は、現在位置と行くべき場所を動物に教える生物学的ハードウェアと遺伝的プログラミングに頼るのをやめた霊長類の一種だ。そのかわりに人類は知覚と注意力をもとに認知能力を発達させ、どこへでも行ける自由を手に入れた。」

「ヒトのナビゲーションを成功させるための鍵は、過去を記録し、現在に注意を払い、未来を、つまり到達したい目標や場所を想像する能力にある。その意味では、ナビゲーションには、空間を通過する文字どおりの移動だけでなく、時間を通過する精神的な移動も関係している。」

ナビゲーションに不可欠な「何が・どこで・いつ」の記憶をつかさどる海馬
しかし近年、GPS頼みで海馬のナビゲーション機能を使わなくなり、
海馬の代わりに習慣を蓄積する役割を持つ尾状核が活発に働いている。
もしも海馬を鍛えないことで萎縮がはじまってしまったら、どうなるのか?

PTSD、アルツハイマー病、統合失調症、鬱の発症が、
海馬の収縮と関連していることが分かっているが、問題はそれだけではない。

まず最初に影響が出るのは記憶力
また海馬は私たちが生きてきた人生の物語を保管する場所であり、
自分自身を未来に投影したり、目標を描くための想像力の源でもある。

「想像力が生まれ、ヒトの自己認識がいまこの瞬間を越えて過去と未来へ広がった結果、人類が現在のような進化の道をたどった可能性もある。」

想像力を失った人類とはいかなる存在になるのか?

“True beauty could be discovered only by one who mentally completed the incomplete.”(本当の美しさは、不完全を心の中で完成させた人だけが見出すことができる。) by 岡倉天心「茶の本」

あえて隠したり、省いたりすることで、受け手の想像力にまかせる。
そうすることで、すべてが限りあるこの世界に無限の美を演出する。

かつてはあった日本の美意識も失われつつあり、
GPSの登場にかかわらず、想像力は退化しているのかもしれないが…。

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