気候工学。
「人工的・直接的に気候システムに介入して、地球温暖化対策とすること」
と定義し、主に2つの方法を紹介している。
- 大気中からCO2を直接回収する技術
- 成層圏に微粒子をまいて太陽光を遮る技術
大気中からCO2を直接回収する技術
前者については最近、日本のニュースでも見かける、
スイスの“Climeworks”が紹介されていた。
私が見かけたニュースでは大気中から回収したCO2を炭酸飲料として回収、
というような話が紹介されていて、うん?なんか変じゃないか?と感じた。
やはり回収したCO2を地中に埋めなければ、大気中のCO2濃度が減らないとのこと。
またCO2回収設備を稼働させるためのクリーンエネルギーの供給にも問題あり。
手放しで喜べる技術という訳ではないようだ。
成層圏に微粒子をまいて太陽光を遮る技術
成層圏に微粒子をまくのは、火山の大規模噴火に着想を得た技術。
歴史的にも大噴火で噴煙が成層圏にとどまることで、
「太陽光が遮断→寒冷化→飢饉→革命」という例が見てとれる。
たとえば以前まとめたのは、1783年の浅間山とラキ山の噴火の例。
噴火が誘発した飢饉と革命/上前淳一郎「複合大噴火」(16/08/15)
人為的に噴煙に変わる微粒子をまいて、温暖化対策につなげようという訳だが、
たとえば先進国主導で実施した結果、途上国の食料収穫に影響が出るのでは?
というように気象への影響が解明できてない状況では、大規模な実施はむずかしい。
CO2を食べる増殖する水素菌
最後に本書と気候工学を離れ、最近面白いなと思った研究が、
株式会社CO2資源化研究所のCO2を食べて増殖する水素菌。
そして成長した水素菌を代替肉として食べられるという、
温暖化と食糧問題の両方解決を図る、そんなのアリ?な技術。
究極的には脱炭素の動きだけでは温暖化を止めることはできず、
新技術に頼るしかないのだろうな、と個人的には考えているので、
この手の話題は今後も追いかけてみたい。
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