Wikipediaの「火山噴火の歴史」を眺めていると、
2014年以降、世界で火山の噴火が増えているように見える。
Volcano Discovery には世界の噴火状況が一目で分かる地図もある。
景気の循環にも関係があるかもしれないからと、
太陽の活動と気候変動の歴史を調べたりもしているが、
火山の噴火もまた気候に与える影響は大きい。
上前淳一郎「複合大噴火」では1783年の
浅間山とアイルランドのラキ山の大噴火に着目し、
- 火山の大噴火
- 噴煙が成層圏にとどまって太陽光をさえぎる
- 地球上の熱バランスの変化が起きる
- 偏西風の蛇行
- 異常気象
という連鎖に伴う天変地異を小説仕立てで描いた一冊だ。
フランスには当時の細かい気象データが残っており、
他の書籍からの引用だが噴火後の降水量や気温の低下が見てとれる。
フランスではラキ山の降灰と気温の低下で小麦が不作となり、
小麦の価格が急騰、これをうけて庶民の主食のパンも値上がり。
これがやがてフランス革命へとつながってゆく。
マリー・アントワネットの「パンを食べられなければ…」が有名だが、
本書に描かれた当時のフランス庶民の消費支出を知ると、
パンと革命のつながりがより分かりやすくなる。
「当時のフランスの労働者や農民の食事はほとんどパンだけで、肉や野菜はごく少量しかとらなかった。したがってパンの消費量は多く、一日2ないし3ポンド食べた。(1ポンド≒0.45kg)・・・ふだん彼らは、収入の50%をパンに支出し、16%を肉、野菜、ワインに、15%を衣料、5%を燃料、そして1%を照明に支出していた。」P172
日本でも浅間山噴火前年の1782年から飢饉に追い打ちをかける形で、
天明の大飢饉、老中 田沼意次の失脚へとつながってゆく。
もちろん日本でも米の不作、米価急騰が起きている。
歴史の評価は人それぞれだろうけど、
経済政策の面では松平定信より田沼意次の方が正しいと思うから、
噴火と飢饉の影響で田沼路線が寛政の改革で全否定されたのは残念。
噴火による直接的な被害(火砕流に巻き込まれる等)を受けなくても、
後からジワジワと広範囲に影響を与える点で地震より恐ろしいかも。
日本の火山だけでなく、世界のニュースに注目しておくべきだね。
(とくに投資家であればその後のコモディティ相場に与える影響を)
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