曜変の輝きと千利休の美学

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雑誌BRUTUSの最新号の特集が「曜変天目」。

「窯変(ようへん)」の美。
窯の中で釉薬が化学反応を起こし、美しい色彩や結晶が生まれる。
とりわけ美しい茶碗には「窯」に変わって「曜」の字が当てられた。
「曜」は「星の瞬き」や「星の輝き」という意味がある。

この茶碗を手に取れば、手の中に宇宙が広がっているように見えるだろう。

曜変天目茶碗は中国宋の時代に焼かれ、未だに再現不能の名品。
現存するのは世界でわずか3点で、なぜかすべてが日本にある。

三碗が同時期に見られる貴重な機会ということで雑誌の特集が組まれた。
とくに大徳寺龍光院が所蔵する茶碗は、めったに表に出ることがない。

この茶碗でお茶を飲んだら、茶碗が凄すぎてお茶の味が分からなそうだ。
だが曜変天目は千利休の美学に近いように思う。以下の引用は自著より。

茶道の大成者、千利休(1521~1591)。

とくにその空間感覚を同時代のヨーロッパと比較すると、日本の特徴が浮かび上がる。利休の生きた時代(1521~91)は、ヨーロッパではちょうどルネサンス期にあたる。代表する人物の生年を並べると分かりやすい。

  • ミケランジェロ(1475~1564)
  • コペルニクス(1473~1543)
  • ガリレオ・ガリレイ(1564~1642)
  • シェークスピア(1564~1616)

ルネサンスとはいったい何だったのか?
たとえば宇宙に目を向け、地動説を唱えたコペルニクスやガリレオ・ガリレイのように、人間の世界観を極限まで広げようとしたのがルネサンスの特徴ではないだろうか。

だが、同時代の日本文化を代表する利休はその真逆を行く。和室の原型とされる慈照寺(銀閣寺)の一室「同仁斎」に倣って、茶室の基本は四畳半だったが、利休は二畳にまで縮めた。まるで手の届く範囲に全宇宙があるのだ、と語っているかのようだ。

手の届く範囲に全宇宙があると語りかける千利休の美学。
そして手の中に宇宙が広がっているように見える曜変天目茶碗。
曜変天目が日本で大切に受け継がれた理由が分かるような気がする。

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