美食の礎、辻静雄/海老沢泰久「美味礼讃」

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2007年にミシュランガイドの日本版が出版され、
星の数を世界と比較してみると、
日本が美食大国であることが明らかになった。

それは一体なぜなのか?

地理的条件の恩恵による味覚の発達が背景にあると考えている。

日本は世界地図を回転すると文化の受け皿的な地理にあたる。

料理に使う食材が多ければ、味にうるさい人が増えるはず、
それが腕の良い料理人を生み出す土壌となったのでは?

「アメリカ人の研究者が調べたところによると、味がわからない「味盲」というハンデをもつ比率は、アメリカ人で25%、イギリス人では12%いるそうです。日本人は3%で世界でもっとも味覚が優れた民族だといわれています。」渡辺善次郎「日本型食生活の変遷」(キッコーマン国際食文化研究センター

たしかに日本人は味覚に優れているのかもしれない。
だがそれだけでは不十分だ。

ブリア・サヴァラン「美味礼讃」の中にこんな一節がある。

「フランス人は、ほかの民族よりも、ただおなかがすいたから食べるという人間と、味をよく嚙みしめて楽しんで食べるという人間を厳重に区別することに、非常な熱意を燃やしている民族である。」

明治・大正時代には財閥系企業のトップが集まる茶会で、
懐石料理の可能性が追求されていたことが「東都茶会記」から分かるし、
大正末期には魯山人が「星岡茶寮」で美食の限りを尽くそうとした。

では近年の日本で美食文化向上に一役買ったのは誰なのか?

タイトルに惹かれて手に取った、海老沢泰久美味礼讃
辻調グループの創業者、辻静雄氏(1933〜93)をモデルにした小説だ。
本物のフランス料理を日本にもたらした人物がいたことを知った。

日本にフランス料理と呼べる料理が存在しなかった時代に、
フランスをはじめヨーロッパ中のレストランの料理を食べ歩く。
ポール・ボキューズをはじめとするスターシェフとの親交を結び、
彼らの紹介で本場のシェフを教師として招聘することに成功した。

またフランス料理に関する古典を読み込み、数多くの著作を残したことで、
フランス政府から「国家最優秀職人賞」の特別賞を日本人で初めて受賞した。

この小説は登場人物が一部、架空の人が混ざっているため、
より深く辻静雄氏を知るために、ぜひ著作も読んでみたい。

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