イスラエルを取り巻く現況/高橋和夫「イランとアメリカ、そしてイスラエル」

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タイトルに何のひねりもない一冊だが、これはオススメ!

今月発売されたばかりの分厚めの新書(460ページ)が、
今の中東情勢を理解する上で、最近読んだ関連書で俊逸の内容。

2023年10月のハマスによるイスラエル奇襲を中心に、
2025年末までのイスラエル近隣諸国の動きをまとめた、
第1章から第5章までを読み終えたので、ここでいったんメモ。

イスラエルは敵対するハマス、ヒズボラ(レバノン)へ打撃を与え、
シリアではアサド政権が崩壊し、イランの同盟者が弱体化。
現在のイスラエルは1948年の建国以来初めて、
深刻な脅威を与える国が周辺に存在しない状況になっている。

ハマスの壊滅が難しいのは地下要塞の存在

  • ガザは東京23区の6割程度の大きさだが、地下要塞の総延長は500キロに達する。東京の地下鉄の総延長の300キロよりはるかに長い。
  • イスラエルはすべての出入口を破壊できておらず、まだ大半が生き残っていると言われている。

2023年末にジェノサイドで提訴したのは、なぜ南アフリカ?

  • アパルトヘイト体制崩壊後に、白人への報復を避けた政策を維持していることから、南アフリカはグローバル・サウスの道徳的リーダー。
  • アパルトヘイト時代の1960年代に国連で南アフリカへの武器輸出を禁じる決議が成立。アメリカやイギリスも輸出を止める中、イスラエルは平気を輸出してアパルトヘイト体制の存続を助けた。(ダイヤモンド産業でユダヤ系の資本が入っていたから)

ヨーロッパ社会のジェノサイドへの感覚のズレ

  • ドイツはガザ後もイスラエルの立場を支持。その背景には第二次大戦時のユダヤ人へのジェノサイドがある。しかしナミビアでのジェノサイドについては罪の意識が希薄
  • ナチスのホロコーストは、ヨーロッパでヨーロッパ人に対して行われたから、謝罪や賠償の対象になったが、その他のヨーロッパ諸国がアフリカで行ったことについては見て見ぬふりをしている。

イスラエルとヒズボラ(レバノン)の戦い

  • ヒズボラ(レバノン南部のイスラム教シーア派武装組織・政治組織)とイランとの繋がりは16世紀までさかのぼる。イランに誕生したサファヴィー朝がシーア派への改宗を進めるにあたり、レバノンからイスラム法学者を招いた。
  • 1980年代にイラン革命防衛隊の指導を受けて結成されたヒズボラは、車に爆発物を積んで自爆する方法等で、1982年6月に侵攻してきたイスラエルと戦い続け、2000年5月にイスラエル軍をレバノンから撤退させた。
  • 2006年にイスラエルはヒズボラを攻撃し、レバノンの経済インフラを破壊したが、イランから供給されたヒズボラのミサイル装備を破壊することはできなかった。
  • 2024年9月、イスラエルがヒズボラの指導者ナスラッラーを殺害。

シリアのアサド政権の崩壊

  • ヒズボラとイスラエルが停戦合意をした2024年11月26日の翌日、シリアの反政府勢力が攻撃開始。12月8日にアサド大統領がモスクワに亡命。2011年以来の内戦が終了。
  • 1970年から親子二代に渡って続いたアサド政権の後ろ盾はロシアとイラン。とくにイランにとってシリアは、レバノンとヒズボラをつなぐ位置にある国だった。

次の章からはイランとアメリカに関する記述が続く。

Amazon.co.jp: イランとアメリカ、そしてイスラエル 「ガザ以後」の中東 (朝日新書) : 高橋 和夫: 本
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