中東でのイスラエルの侵略戦争が停戦合意に達した。
今、学ばなければ、このまま他人事として忘れてしまう…
そんな危機感を覚えて、手に取った一冊が素晴らしかった。
本書には2024年2月に開催された2つの講座と、
この講座に登壇した3名で4月に実施した鼎談が収録されている。
現在の惨状は過去の愚行の焼き直し
とくに印象的だった一節は、
「今、ガザで起きていることは、入植者植民地主義によって建国され、ユダヤ人至上主義体制を維持するためにアパルトヘイトを敷いている国家に対して、民族浄化され、アパルトヘイトの体制下で抑圧される先住民が、解放を求めて抵抗している脱植地化の闘いであるということ(したがって、十月七日のハマスによる攻撃は、歴史的争におけるテト攻勢と類比されるべきものです)。そして、イスラエルがガザのパレスチナ人に対して行使している暴力は、日本も含め、世界の植民地主義国家がその植民地支配の過程において、自由や独立を求める被植民者の抵抗に対して歴史的に行使してきた殲滅の暴力であるということ。」
ナチスドイツは「ユダヤ人」、同時期の日本は「朝鮮人」、
そして9.11以降のアメリカが「テロリスト」と名指した者は、
同じ人間として扱われず、暴力と殲滅の対象にされてきた。
これらはイスラエルが「ハマス」と呼ぶことと同じ系譜なのだ。
ブラッドランド(流血地帯)
また本書で紹介された、ティモシー・スナイダー「ブラッドランド」。
西欧の歴史研究者が、ナチスによるユダヤ人虐殺を強調しすぎたため、
見過ごされてきた大量殺人があったという。
ウクライナ、ポーランド、ベラルーシ、バルト三国の一帯では、
ヒトラーとスターリンに幾度も蹂躙され、暴虐の限りが尽くされた。
死者およそ1400万人。すべて民間人で、ほとんどの死因が餓死。
この本も同時に手に取ったのだが、気が重くて読み進められない。
歴史学の光の当て方次第で、こんな惨状が消されかかっていたとは…
そして興味深い事実として、イスラエルの歴代首相は、
このブラッドランドとその隣接地から逃れてきたユダヤ人とその二世。
暴力の連鎖が起きているのかもしれない。
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