資本主義がイスラム圏で生まれなかったのはなぜ?/大澤真幸「世界史の哲学 4 イスラーム編」

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サウジETFに投資したおかげで、こんな本が目にとまった。

2009年から連載が続くシリーズで、
4冊目のイスラーム編は2015年に出版、2024年に文庫化された一冊だ。
1~3巻は未読でもつまるところなく読み進めることができた。

イスラム圏には下記のような土台がありながら、
西洋に先んじて資本主義が発達しなかったのはなぜかなのか?

  • 歴史の一時期まで最先端の文明を誇っていた
  • イスラム教の観点から正しいことを行うことが、アッラーへの「投資」としてコーランに描かれている(預言者ムハンマドは商人)

キリスト教や中国思想と比較分析をしながら迫っている。

著者は「利子の禁止」がその理由である俗説を否定し、
ひとつの解として、イスラム教の「法人格の否定」をあげる。
ただ法人を拒絶した原因の一つを「永続性への抵抗」に求めるならば、
時間が神の創造に基づいているキリスト教と同じではないか?

そんな謎を提示しつつ、最後にキリスト教の時間感覚に面白い仮説を示す。
キリスト教の最後のときはすでに到来してしまっているのではないかと。

「歴史の終わりの瞬間の出来事、本来的に未来に属することが、すでに過去のこととして生起してしまっている。宇宙の終わり自体を時間の中に組み込む、このような時間の感覚は、社会に、人間の精神にどのような影響をもたらすのか。これをわれわれは見定めなくてはなるまい。」

謎を残しつつ次の巻に進んでいくということか。先が気になるな。
5巻以降は文庫化がまだなので購入するか迷う。(家の本棚が足りない…)

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