ナマズは「泳ぐ舌」/ジャッキー・ヒギンズ「人間には12の感覚がある」

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ジャッキー・ヒギンズ人間には12の感覚がある

著者が人間の感覚を「12」と主張している訳ではない。
原題は“Sentient: What Animals Reveal About Human Senses”

自然界の動物が持つ驚くべき感覚を例にあげながら、
人間に眠っているかもしれない感覚を紹介した一冊。

いわゆる五感(視覚、嗅覚、聴覚、触覚、味覚)という考えは、
紀元前350年頃にアリストテレスが「霊魂論」で触れたのがはじまり。
2000年以上も私たちの主な感覚器官として認識されているのか!

私たちが「美味しさ」を味覚だけで判断していないことを考えると、
たしかに感覚を分類して線引するのは奇妙なことと言えるのだろう

本書でとくに興味深かったのが、ナマズ味覚の章。
人間が味を感じる「味蕾(みらい)」は舌に集中しているが、
ナマズの味蕾は全身に分布しており、その数が異常!

  • ナマズ…ヒゲに20,000個、唇に3,000個、胴体に155,000個
  • 人間…舌に8,000個

ナマズの全身に広がる味蕾は、味を感じるだけでない。
水中に溶け出したわずかな化学物質を検知し、
遠くの獲物の位置を特定するレーダーとしても機能する。
ナマズの味蕾は、味覚、触覚、臭覚を併せ持っていると言える。

また現在、味覚の研究分野で「孤立性化学感覚細胞」という、
味蕾以外の味覚細胞が注目されているらしい。
最初に見つかったのはナマズをはじめとする魚類だったが、
両生類や爬虫類、哺乳類、そして人間にも存在することが判明。

この細胞自体は味を感じているが、意識下で働いており、
私たち自身は塩辛い、甘いなどと味を感じることはない。
鼻にも存在するこの細胞は、空気中の刺激物や細菌を検出し、
くしゃみが出るように促す役割をしているのだとか。

ナマズの味蕾は鋭敏すぎて、人工的な水質汚染に極めて弱く、
水質の健全性を示す指標とされていることと重なってくる。
こうなると味覚とは一体何なのか?私たちの理解の土台が揺らぐ。

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