ミヒャエル・エンデ「モモ」は、時間の大切さがテーマの本だと思っていた。
人生で成功を収めるには、時間を節約して生きることが必要、
と信じこまされ、人々は豊かな人生を送るための時間を見失ってしまう。
その失われた時間を盗む時間泥棒と、それを取り返そうとする主人公モモの話。
「光を見るためには目があり、音を聞くためには耳があるのと同じに、人間には時間を感じ取るために心というものがある。そして、もしその心が時間を感じ取らないような時には、その時間はないも同じだ。」
だが著者はより深い問題意識を持って、この物語を紡いでいたようだ。
今のところ認識したのは、
- 「モモ」のメインテーマは実はお金?
- エンデはファンタジー小説家ではなく貨幣経済研究家?
たとえばエンデのインタビューにこんな一節がある。
「私の見るところ、現代のお金が持つ本来の問題は、お金自体が商品として売買されていることです。本来、投下代償であるべきお金が、それ自体が商品になったこと、これが決定的な問題です。そのことにおいて、貨幣というもののなかに、貨幣の本質をゆがめるものが入るのではないでしょうか?」
また最初に「モモ」の隠れテーマに気づいた経済学者ヴェルナー・オンケンは、
「灰色の男たちは、不正な貨幣システムの受益者にすぎない。その貨幣システムは、本来、人間に備わっているものではなく、自然界の外にあって、貨幣を凍結させる機能をもつものである。自然に適合した貨幣システムが実現して、灰色の金利生活者たちが利子を通じて人間から時間を盗むことができなってしまえば、彼らは、人間存在としてではなく、不正なシステムの受益者として安楽死を受け入れなければならない。」
様々な意見を踏まえて「モモ」をざっと読み直したところ、
この物語の灰色の男たち(時間泥棒)が、お金そのものではないかと感じた。
お金に時間を搾取される人間への批判を込めた話。そんな感じ。
いずれにせよ子供向けとバカにせず、エンデ「モモ」を一度読んでみて。
参考図書
コメント
「モモ」は遥か昔に呼んだ記憶があります。・・・が、そんな深いテーマが隠されていたとは気づきませんでした(子供だったからしょうがない?)。
今度図書館で探して見ます。ちょっと気恥ずかしいですけれど(笑)
エンデって人は貨幣のあり方についてかなり研究してたみたいです。使わないとだんだん価値が減っていく老いる通貨とか、深入りするとかなり面白いです。
私が「モモ」を読んだときには、時間泥棒が徴税権をもっている人たちのように感じました。
そして、働いている人たちは所得にあわせて所得税を取られている人たちのように感じました。
しょういちさん、それって何歳の時に?
私なんぞ30歳で読んで、指摘されるまで全然気がつきませんでした(笑)