飛行機に乗るのは嫌いだ。
古いサッカーファンにしか伝わらないがベルカンプほどではない。
そんな私がこんな内容を読んだら飛行機に乗れない!
少なくともボーイング製の飛行機には乗りたくない!
優良企業だったボーイングが悪しき企業へと堕ちていく。
その過程を本書の内容をもとに年表にすると、
まとめ年表
以下により細かい動きをメモ。
主な出来事の詳細を時系列で
1990年代まではビジョナリー・カンパニー
ボーイング中興の祖とされるウィリアム・アレン。
その社長・会長在任期間(1945~1972年)の経営は、
ベストセラー「ビジョナリー・カンパニー」で称えられるほど。
当時は利益を度外視して品質を高めようとする企業文化があった。
フィリップ・コンディットの1992年に社長に就任が転機。
エンジニア出身にも関わらず現場を軽視する方向へ舵を切る。
(1996年にCEO、1997年に会長を兼務し、2003年まで会長職)
1997年8月 マクドネル・ダグラスを救済合併
同じ業界のライバル、マクドネル・ダグラスは短期利益追求の末、
約10%が事故で全損した航空機MD-11を世に送り出し、転落した。
合併後そんな会社の出身者がボーイング取締役会の3分の1を締め、
製造現場ではなく、ロビー活動や金融市場を重視する企業へと傾いていく。
ボーイングの変貌の様子は、下記のように揶揄された。
「羊による狼の買収」
「ボーイスカウトたちが暗殺者に乗っ取られた」
「マクドネルが、ボーイングのカネでボーイングを買収した」
メアリー・スキアヴォ「危ない飛行機が今日も飛んでいる」
アメリカ運輸省の監察総監を努めた人物の告発本(1997年出版)。
アメリカ連邦航空局(FAA)は、安全性のテストをアウトソース。
ボーイングの技術者がボーイングの旅客機の審査を代理!
2001年3月 本社移転を発表
労働組合との戦いを避けるため、製造拠点のシアトルを離れ、
金融市場との関係が深いシカゴへ本社を移転。
当時のコンディットCEOの発言に製造現場軽視の姿勢がにじむ。
「ボーイングはもはや単なる金属加工業ではなくなる」
「株主価値に集中する新しいスリムな企業中枢をつくりあげる」
2003年~ GE出身のCEOによる企業文化の破壊
GEでジャック・ウェルチの薫陶を受けた人物がCEOに
- 2003~2005年 ハリー・ストーンサイファー
- 2005~2015年 ジェームズ・マックナーニ
株価を重視し、製造現場を軽視しコストカット。
20世紀最高の経営者と誤解されたウェルチの経営手法で、
ボーイングは崩壊へと突き進む。
1997年の合併時には24万人いた従業員は2005年には15万人まで減少。
利益率を重視し、開発や生産を下請け、海外へとアウトソース。
デザインと組み立ての最終段階のみ自社で手掛ける方向へ。
かつてマクドネル・ダグラスが転落したのと同じ道を歩みはじめる。
2011年 エアバスへの対抗する737MAXの開発を決定
高騰する燃料費、環境意識の高まりから燃費性能が求められ、
ボーイングとエアバスが次世代型の航空機の納入で争う。
しかしボーイングは長年の研究開発費削減により、
燃費性能でエアバスの新型航空機A320neoに劣っており、
新たな機種を設計・開発していたら間に合わない。
現行モデル737に新エンジンを搭載した737MAXの開発を決める。
737シリーズの改良版という建付けなら、
航空会社にとってパイロットの追加訓練がいらない、
という売り込み方も可能だった。
737の機体は地面から翼の高さが低く、新エンジンを搭載する余裕がない。
そのためエンジンの搭載位置を従来の斜め上にずらして隙間を確保した。
しかし機体の重心がズレ、加速時に機首がのけぞってしまう作りに。
本来なら設計を一から見直し、機体の不安定さを取り除くべきところ、
利益優先でソフトウェアで機体を制御することにした。
2013年 自社株買いを再開
737MAXの受注が好調だったため、
リーマン・ショックで途絶えていた自社株を再開する。
2019年3月に737MAXの2度目の事故が起きる直前まで、
純利益総額の410億ドルを上回る600億ドル超を株主に還元。
うち7割の430億ドル超が自社株買いで、残りが配当。
アメリカ最大規模の防衛関連企業、かつ国内唯一の大型旅客機メーカー、
としての独占的な立場をテコに、ロビーイングで政界ににらみをきかせ、
規制規制をも骨抜きにして安全対策のコストを回避する。
研究開発を捨て、コストカットで
そうして稼いだ現金をすべて株主へ吐き出し、株価を引き上げた。
2018年10月29日 インドネシア・ライオン航空JT610便が墜落 189名死亡
アメリカ連邦航空局(FAA)はこのまま737MAXを飛ばし続けると、
どれだけの頻度で事故が起こるかシミュレーションを実施。
- その時点でボーイング受注していた計4800機が運航すると仮定
- 1機につき30~45年間運航すると、2、3年ごとに墜落事故が起き、最大15機の墜落する
- その間に死亡する乗客の総数は約2900人
このデータは航空会社に伝えられることはなく、
明るみに出るのはアメリカ議会が事故の調査に乗り出してから。
2019年3月6日 ジャーナリスト、ドミニク・ゲイツが事実関係を整理し、ボーイングとFAAを追求
2019年3月10日 エチオピア航空ET302便が墜落 157名死亡
エチオピアでの事故直後、全世界で737MAXの運航を禁止に。
最後まで運航を許していたのがアメリカのFAAと日本の国土交通省だった。
アメリカ議会の事故調査を経て、
2020年11月にFAAが737MAXの運行停止処分を解除する。
2022年5月 再び本社移転
ワシントンに隣接するバージニア州アーリントンへ移転。
アーリントンにあるペンタゴン(国防総省)との関係を強化。
民間機部門よりも防衛部門を重視する姿勢へ舵を切った。
2024年1月 アラスカ航空1282便が緊急着陸
ふたたび737MAXに重大事故。飛行中に非常ドアが吹き飛ぶ。
工場出荷時に非常ドアを固定する重要なボルトが4つ欠落していた。
止まらない内部告発。そして告発者への報復人事…
- 「787」の主翼と胴体の接合部について、出荷前の検査を怠ったのに、実施したかのように書類を改竄した疑いでFAAが調査
- 「787」「777」で作業効率を優先する工法を採用したため、胴体の接合部に過度な圧力がかかり、壊滅的な事故を招く恐れがあるとベテラン技術者が内部告発
- 「737MAX」の工場で数百点の不良部品が行方不明となり、一部は機体に取り付けられた可能性があると品質管理担当者が内部告発。部品管理の記録は消され、FAAの検査に際しては、不適切に管理されていた部品を別の場所に隠していたとも主張
こんな状態でも今も737MAXは飛んでいる。
個人的にはJAL国内線しか使わないので調べてみたところ、
現時点では使われておらず、2026年後半から導入予定とのこと。





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