音声メディアの可能性/冨山雄一「今、ラジオ全盛期。」

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ラジオとは無縁の人生を送ってきたので、

というタイトルに、なんだ?と興味を持って読んでみた。

2024年2月に開催のオールナイトニッポンの特別イベントに、

  • 東京ドームに、5万3,000人
  • 全国映画館のライブビューイングに、5万2,000人
  • オンライン配信を視聴したのが、5万5,000人

という盛り上がり。
オールナイトニッポンの統括プロデューサーである著者は、

21世紀に入って、今、若者がいちばんラジオを聴いています。

これをキャッチコピーに講演をしているのだとか。
今のオールナイトニッポンの協賛スポンサーも年間70社以上、
ラジオ最盛期と呼ばれた1980年代を上回るスポンサー数だという。

ラジオ衰退から復活まで

21世紀に入ってすぐの頃は、インターネットに飲み込まれたラジオ業界。
とくに2007年に立ち上がった「ニコニコ動画」の衝撃が大きく、
ラジオが担っていたサブカルチャーやアンダーグラウンドな雰囲気を、
ニコニコ生放送に持っていかれ、人材が流出していったという。
そこにリーマン・ショックによるラジオ広告への大打撃。

しかし2010年に誕生したプラットフォーム「radiko」によって、

  • スマホにアプリさえ入れれば誰もがラジオ番組にアクセスできる
  • 生放送を聴くのが前提から、放送後いつでも聞ける

という環境の激変によって、ラジオが復活をはじめる。

なぜラジオが復活したのか?

著者は次の3つのポイントによりラジオが見直されたと考える。

①素の良さを生かす

今はインスタにあげる写真や動画を、加工するのが当たり前。
本来の自分ではなく、いかに良く見せるかを競っている時代。
そんな加工品ばかりの世の中でラジオは、
自分の素やありのままを見せる、他にはない良さがある。

②関係性を耕す

現代社会では損得勘定で動く人間関係が多いもの。
そうした中でパーソナリティとリスナーの関係性は特殊。
互いの顔がわからないのに、いつも一緒にいるような親近感がある。
だからラジオは、ただの熱狂ではなく「静かな熱狂」を生む。

③じっくりと待つ

今はタイパ・コスパ重視して、コンテンツを消費したい人が多い時代。
しかし短期目線に最適化される、ありふれたコンテンツばかりになる。
一方でラジオは、1年・2年後を見据えた長期的な志向を持ち、
「ラジオは1クール10年」と称されるほどの時間軸の違いがある。
一周回って、長く続けてきたものに注目が集まっているのでは?

ポッドキャストとの差別化が弱いような…

少し気になることとして、同じ音声メディアにポッドキャストもある。
著者は深夜の長時間生放送がポッドキャストとの違いだと説いている。
でもそれだとオールナイトニッポンに限った話なのでは?

そこでラジオとポッドキャストのリスナー属性の違いについて、
AIを使って調べてみると、下記のような図表が返ってきた。
ラジオ業界全体の話ではなく、特殊な成功例が描かれた一冊なのかもしれない。

今、ラジオ全盛期。 静かな熱狂を生むコンテンツ戦略
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