イスラム金融ってお金を貸して利子とっちゃダメじゃない。
そういうのを聞くと、沸いてきた石油を売りさばいてるだけで、
イスラム世界は経済活動の無縁なんじゃない?と思いがち。
でもこの本読むと、そういう誤解を取り払ってくれるよ。
- コーランには商人言葉、商業専門語の表現がたくさんあり、
- 人間がこの世で行う善悪の行為を「稼ぎ」と捉えている。
- そしてイスラム教の信仰=人間と神とが契約を結ぶ取引
「イスラームは最初から砂漠的人間、すなわち砂漠の遊牧民の世界観や、存在感覚の所産ではなくて、商売人の宗教-商業取引における契約の重要性をはっきり意識して、何よりも相互の信義、誠、絶対に嘘つかない、約束したことは必ずこれを守って履行するということを、何にもまして重んじる商人の道義を反映した宗教だった。」P29
最近思うこと。
すべての学問は数学と哲学へ向かって収束していくのでは?
そして数学と哲学のどちらか一方ではなく2つのバランスが大切。
20世紀の経済・経営の分野は数学に傾きすぎて崩壊した。
数学と哲学をバランスよく整えて、編集し直す必要がある。
そう考えると上記のようなイスラム世界の知見にも触れないとね。
イスラーム文化-その根柢にあるもの (1991/06/17) 井筒 俊彦 商品詳細を見る |
コメント
「すべての学問は数学と哲学へ向かって収束していく」
…名言ですね。
言われてみると、いろんなことに当て嵌まり、合点いきます。
「名言」の一声いただいたので、該当部分を太字に修正しました♪
「イスラーム文化-その根柢にあるもの」は、私も最近読みましたが、
・アラビア(砂漠の文化)とイスラム(商業文化的)は違う
・イスラムは布教しない
・イジュティハードの門閉鎖により、闊達な議論がなくなり、イスラーム社会の衰退につながった
・コーラン解釈のためにイスラム社会では論理学が発達していた
など知らないことだらけでおもしろかったですね。
イスラムに無知な私はイスラムというと、女性のスカーフ着用や原理主義、ニザール派ばかりを思い浮かべて、怖いとか厳格なイメージばかりが先行してしまいますが、本書を読むとそれらとはまた違った一面が見えてきますね。
「岩波文庫で好きな本はこれ!と選べないようじゃ、読書家と言えないね」なんて話を聞いて、最近岩波をたくさん読んでいます。この本はとくによかったです。古典や翻訳本のような読みにくさもなく、思い込みを破壊してくれるところが特に。