エドワード・ハレット・カー(1892~1982)と言えば、
名著と誉れ高い「歴史とは何か」が真っ先に思い浮かぶ。
でもカー自身が「読者に一番歓迎された本」と自画自賛した一冊は、
今年の春に岩波文庫から新訳が出版された、
第二次大戦が勃発、フランスが降伏し、ロンドンが空襲を受けるという、
イギリス人のカーにとって思わしくない戦況下で戦後を見据えて発表された。
なぜ第一次大戦後の平和が壊れてしまったのか。
著者はその要因は、第一次大戦での戦勝国が戦前秩序の回復を重視、
ノスタルジアに囚われて、保守的になりずきたことに求めていた。
既得権益を持つ国とそれを支える特権集団は、
- 権力の高みに到達した時代を理想化し、その条件を維持することが最高の善であるとみなす傾向がある。
- 特権集団が自身の安全のみに集中して、改革の必要性を、さらには進歩の必要性すら顧みない。
こうした中、「re」が冠された言葉が多く登場したという指摘は興味深い。
「過去へのノスタルジアは強迫観念となって人々の心に深く根付いていた。両対戦期間において興味深いことは、接頭辞「re(戻る・もう一度)」が冠された経済スローガンが非常に多い事実である。再建、経費削減、賠償、戦時債権の償却、平価切り上げ、金本位制の回復、経済回復、貿易障壁の撤廃などに関心が寄せられた。インフレですら「リフレーション」と呼ばれると、まっとうな政策であるかのように聞こえてくる。」
一方で現状に不満をいだいていたナチス・ドイツは、
経済政策で創意工夫することで大衆の支持を集め、
現状にあぐらをかいていた国々を飲み込もうとしている。
著者の分析をざっとまとめるとこんなところだが、
ノスタルジアといえば、トランプ大統領が連呼している
「Make America Great Again(MAGA)」
なんかひっかかる。
関連しそうな気になる題名の本も今年出版されている。
この本も読んでおこうかな。




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