河野龍太郎さんと唐鎌大輔さんの対談本「世界経済の死角」。
両氏の最新作を読了済みだったため、一気に読んでしまったが、
これは「日本経済の死角」「弱い円の正体」を含めて再読し、
きちんとメモを取りながら、知識の定着を務めるべき内容だ。
まずはイノベーションの歴史について。
昨年のノーベル経済学賞のダロン・アセモグル、サイモン・ジョンソン。
私はこの両氏の共著「技術革新と不平等の1000年史」は未読だが、
その内容をもとに対談で分かりやすく語られているのでメモ。
イノベーションには次の2つのタイプがあり、
- 大多数の人々に豊かさをもたらすタイプ(包摂的イノベーション)
- 一部の人々にばかり恩恵が集中して、大多数の人々には、むしろ大きな負担や苦痛を強いるタイプ(収奪的イノベーション)
その方向性はイノベーションそのものが決めるのではなく、
その時の社会が包摂的か、収奪的かで決まっていく。
ただし包摂的イノベーションが実現したのは歴史上、
19世紀後半と戦後のわずか2回だけで、ほとんどが収奪的である。
農耕牧畜革命(約1万2000年前)※収奪的
- 比較的平等な狩猟採集社会から、収奪的な農耕牧畜社会へ。
- 多くの人が1日中働き、生産した作物の多くを支配層が取り上げた。
- 狩猟採集時代よりも人々の栄養摂取量が悪化していた。
- 収穫量を記録するために文字や度量衡が生まれ、文明の発展につながると同時に、民衆支配のための手段となった。
産業革命(18世紀後半)※収奪的
- 蒸気機関の発明とその活用で大量生産が可能に。
- 熟練職人が手作業でやっていた生産が機械化され、多くの人の実質賃金がさがり続ける。
- 産業革命後の約100年間はイノベーションの恩恵は資本家に集中していた。
鉄道網の整備(19世紀後半)※包摂的
- 輸送手段がない時代は地産地消が当たり前で生産量が制限されていた。大量輸送が可能になり、労働の需要が高まったことで実質賃金の上昇がはじまる。
- 鉄道網が海辺まで延びたことで、庶民が週末に海水浴に出かけ、レジャー産業の労働需要で賃金上昇の好循環へ。
- 労働者の団結権が認められ、労働組合が合法になった。児童労働も禁止。反トラスト法もこの時期。
電力と自動車産業の登場(第二次大戦後)※包摂的
- 工場内に証明が設置されたことで、労働環境が安全・衛生面で著しく改善した。
- T型フォード生産において、労働者のモチベーションを高めるために、高い賃金を提供することで欠勤・離職を引き下げた。
- 自動車普及によるハイウェイ網の整備され、新たな街が多数建設。また大企業の時代が到来した個ホワイトカラー職やエンジニアリング職が誕生。労働需要が大きく膨らみ、実質賃金の上昇が続いた。
IT革命とグローバリゼーション(1990年代後半~現在)※収奪的
- 中間層の賃金の仕事が失われ、賃金の高い層と低い層に二極化していった。
- 企業経営者の役割は株主利益の最大化という考え方が、イノベーションの方向性を収奪的なものにした。
- 日本では安い衣料品、食料品、サービスが異常に称賛され、非正規行動者を低賃金で雇い、利益を上げた企業が脚光を浴びた時期もあった。
- 金融イノベーションと呼ばれたものの中で、社会の役に立ったのはATMとネットバンクぐらい。その他は金融関係者の利益が増えただけ。




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