資本主義について考えようとして、本を探して読んでいると、
資本主義批判の本ばかりになってしまって、バランスが悪い。
ただ賛成するよりも批判した方が目立ちやすいから出版されにくい。
そんな今の世の中で、裏付け資料やデータを基に、
資本主義を全面的に支持する一冊に出会った。
資本主義によって人類は貧困から抜け出すことができた。
たとえトップ1%に世界の富が集中していたとしても、
彼らは富を生み出し、私たちの生活向上に貢献している。
経済成長こそが私たちの人生に選択の自由を与えてくれたのだ。
「お金を持っていることの何がいいかといえば、お金以外のことを考えられるということだ。」
こんな著者の主張を読んで、ふと気がついたのは、
人類史にとって資本主義は、料理と同じ位置づけなのではと。
なぜ料理と紐づいたかというと、人類は料理を発明したことで、
脳の発達と時間的自由を手に入れ、発展することができたから。
ヒトの脳には平均して860億のニューロンがあり、
うち160億は大脳皮質にあり、霊長類の中で際だって多い。
大脳皮質は論理・抽象的な推論能力や知覚といった機能の中枢。
そしてこのニューロンの多さゆえに、体重の2%にすぎない脳が、
人が1日に要するエネルギーの25%も消費する。
このエネルギーをどう体に取り込むか?
という難問の鍵となるのが「料理(加熱調理)」。
ゴリラやオラウータンが300億ニューロン・体重75kgを保つため、
食料探しと食事で1日のほとんどを使うことを考慮すると、
ヒトにとっての料理の重要性が浮かび上がる。
- 効率的なカロリー摂取で脳を発達させる
- 余裕ができた時間で様々な技術を発明・創造する
このことが人類史の発展につながったわけだ。
資本主義も同じようなことが言えるのではないか。
- 経済成長によって最も効率的に人々の生活を向上させることができる
- お金以外のことを考えられる人が増えるほど、次の時代を創造する人が生まれやすくなる
反資本主義、脱成長の書籍が注目を集める中で、
改めて資本主義のメリットを確認させてくれる良書だった。
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