思いやりだけが魂の抗毒素/エリック・ホッファー「魂の錬金術」

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エリック・ホッファー(1902~83)を在野の哲学者とでも称するべきか。
その生涯をWikipediaでも読むことができるが、かなり独特だ。

7歳の時に原因不明の失明をするが、15歳の時に突然視力が回復する。
再び視力を失う不安から、図書館に通い詰め、貪るように本を読みあさる。
このとき身につけた植物学の知識で大学の研究員として誘われるが、これを断り、
気ままな放浪続けた後、やがて沖仲仕(港湾労働者)として腰を落ち着ける。

毎日働きながら、夜や休日に本を読み、書き綴りながら哲学する。
よい生き方には自由、閑暇、運動、収入が調和した仕事が大切と説き、
ホッファーにとってはそれが沖仲仕プラス哲学の生活だった。

そんなホッファーの著作の中に、
パスカル「パンセ」やロシュフーコー「箴言集」
に似たものがあると知り、手に取った。

印象的だった言葉をいくつか抜き出してみる。

「世界で生じている問題の根源は自己愛にではなく、自己嫌悪にある」

「感受性の欠如はおそらく基本的には自己認識の欠如にもとづいている」

あらゆる問題の根幹は、自己嫌悪や自己認識の欠如にあるため、
問題解決の糸口は、善悪の線引きでも正義の原則でもなく、
思いやり」だけが唯一の抗毒素となりうると説いている。

「われわれの内面で生じる善と悪の不断の往来から離れて存在するのは、思いやりだけである」

「他人に対する不正を防ぎうるのは、正義の原則よりもむしろ思いやりである」

「他人と分かちあうことをしぶる魂は、概して、それ自体、多くを持っていないのだ」

「思いやりは、おそらく魂の唯一の抗毒素であろう」

「他人を思いやる気持ちは、精神の均衡が生み出す静寂の中だけで聞こえる「低い小さな声」である」

他者への思いやりによって、自己認識を深めていくことが大切ということか。

「自分自身の心が読めない人は、真の教養人とはいえない」

年末年始にパラパラとめくって読んでみたい一冊だ。

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