日本語で生きる幸福。
タイトルに惹かれて手にとった。
著者は平川祐弘。ダンテ「神曲」の翻訳者だ。
今の時代、好き嫌いは関係なく英語を学ぶべき。
でも母語が日本語の日本人には有利な面もある。
というのが著者の主張だ。
ひとつの対象を読み解くには、3つの文化的視点が必要。
著者はこの方法を「三点測量」と呼び、
「二つだけの比較では、日本人は向こうばかり見て、向こうばかりを大きく感じてしまう。それは直線上の向こうに対象を見るから距離感がつかめないためである。ここに第二外国語を加えると、線の知識は面となり、遠近感覚がついてきて初めて相手の所在が確認ができる。」(P110)
ダメな日本人にありがちなエリート意識は、
欧米に通じ、いつもあちらを基準に日本を批評すること。
もっともこの手の人たちは日本のことに無知で、
ひとつの視点しか持っていないのと変わらないのだけど。
ちなみに二つの言語を学ぶことを考えると、
後天的に学ぶことが難しい日本語を母語とする日本人は、
他国の人々に比べて決して不利とは言えず、
むしろ幸運な点があると著者は説く。
「日本人の場合には多力者の条件をやや緩めに考えて、二外国語の一つとして日本語の古文や漢文も数えてよい、と私は考えている。三点測量は空間的だけでなく時間的に行うこともまた有効だと判断するからである。」(P211)
1000年以上も昔の古典が残っている国は少ない。
その古典を今の言葉で理解できる国はほとんどない。
こうした理由で日本人は世界で有利な地位にいる。
私の場合、あとは英語だよなぁ。。。
株式投資ではそんなに必要性を感じなかったけど、
日本文化を追求して、それをお金に代えようとすると、
やっぱり外国人向けの観光関係が有望だもんね。
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